トップ文化旅・レジャー商家の旦那衆の社交場ーひがし茶屋街(石川県金沢市)

商家の旦那衆の社交場ーひがし茶屋街(石川県金沢市)

金沢ならではの多彩なスイーツ

百万石の城下町・金沢の代表的観光スポット、「ひがし茶屋街」を歩いた。重要伝統的建造物群保存地区に指定された茶屋街で、格子造りのお茶屋の建物が軒を連ねる。江戸時代末期にできたお茶屋の中を見学し、町家を改造したカフェや甘味処では、金沢ならではのこだわりのスイーツを楽しむことができる。和菓子や九谷焼、金箔(きんぱく)など金沢定番のお土産店も多い。(文と写真・藤野俊之)
観光客で賑わうひがし茶屋街
観光客で賑わうひがし茶屋街

ひがし茶屋街は、市内を流れる浅野川の東側、東山地区にある。駅前から市バスに10分ほど乗り橋場町で降りる。降車した観光客の後についてしばらく歩くと、石畳の道の両側に古いお茶屋の建物が連なる通りに。たくさんの観光客で賑(にぎ)わい外国人も少なくない。レンタルの着物で散策する女性たちの姿も。

石川県金沢市ひがし茶屋街周辺の地図
石川県金沢市ひがし茶屋街周辺の地図

金沢は戦災を免れたが、それにしても、こんな古い街並みがよく残ったものだと思う。観光客の少ない夕刻にでも行けば、お茶屋から三味線の音などが聞こえてくる。きっと昔の金沢にタイムスリップしたような気分になるだろう。

文政3(1820)年、加賀藩の政策で、市中を流れる西の犀川(さいがわ)と東の浅野川の周辺にお茶屋を集め、「にし」と「ひがし」の茶屋街としたのが金沢の茶屋街の始まりという。中でもひがしの「志摩」は、格式の高い茶屋で、当時の姿を残す建物は国の重要文化財に指定されている。茶屋の建物は普通の家と違い、開放的で柱や壁が少ない分、華奢(きゃしゃ)に出来ており、保存が難しいという。

「志摩」のお座敷に置かれた座敷太鼓
「志摩」のお座敷に置かれた座敷太鼓

入館料(大人500円)を払い中に。2階が客間になっており、壁や床の間には紅殻が塗られ、格式の高さを物語っている。

「ここは限られた商家の旦那衆の社交の場で、一般の町人は入れませんでした。武士も出入りは禁止されていました。加賀藩はそういう点は大変厳しかったのです」と案内の人の説明。床の間を背にお客が座ると、正面に控えの間があり、そこが芸妓(げいぎ)らの演舞の場となる。大小の太鼓が置いてある。「大きいのが平太鼓、小さいのが締め太鼓で、お座敷太鼓。別名、散財太鼓とも言います。これを三味線に合わせて演奏するのが金沢独特の芸」という。1階へ降りると、坪庭があった。石灯籠、前栽、格子模様の丸窓が落ち着いた中にも粋な風情を漂わせている。

志摩は坪庭も味わいがある
志摩は坪庭も味わいがある

志摩を出て、街をそぞろ歩く。カフェや甘味処の店が多くある。和風洋風とさまざまで、「金沢プリン」や加賀麩(ふ)のスイーツの店もある。どれも金沢のこだわりが感じられる。和菓子の老舗「森八」も店を出している。

金箔を1枚丸ごとあしらった「金箔ソフト」(Photo AC)
金箔を1枚丸ごとあしらった「金箔ソフト」(Photo AC)

そんな中で行列ができていたのは、ソフトクリームに金箔を1枚丸ごとあしらった「金箔ソフト」の店「箔一」。金箔ソフトは2015年、北陸新幹線の開業とともに誕生し、いまや金沢を代表するスイーツとなった。箔一はその元祖。一個980円の金箔ソフトで街歩きを締め、茶屋街を後にした。

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