武家屋敷や森の駅 見どころ満載
東北に春がやってきた。この時期、秋田県の一番人気は仙北市角館(かくのだて)の桜だが、田沢湖に近い刺巻(さしまき)湿原のミズバショウは心洗われるすがすがしさがある。その途中の「森の駅」は規模は小さいがホッとする空間。そして角館の武家屋敷も興味深い。(文と写真・伊藤志郎)

秋田に春の香りが広がっている。雨の降り続く日が多いが、スイセンが咲き、白いモクレンや黄色いレンギョウが暖気に誘われ花びらを開き始めている。
角館の桜は、予想では20日前後から武家屋敷のシダレザクラが咲き始め、その数日後からは約2㌔に及ぶ桧木内川(ひのきないがわ)沿いのソメイヨシノ約400本が豪華絢爛(けんらん)な光景を見せる。
「あきた花紀行」のホームページでは最新画像を配信中だ。

武家屋敷のシダレザクラは約150本。江戸時代の屋敷が残る通りでは、貸衣装を着て人力車に乗る姿も。角館では5月5日まで桜まつりが開かれ、多くの出店が並ぶ。
ところで角館は芦名(あしな)氏 1万5000石の城下町として元和6(1620)年に作られた町並みが現存しており国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された貴重な文化財でもある。

武家屋敷のうち6棟が公開され、その中で佐竹北家の勘定役(財政担当)を務めた石黒家は唯一、直系の子孫家族が住み続けている。入館料500円を払うと、部屋の内部を説明してくれるが、その奥に資料館があるのでここは見逃したくない。刀の鍔(つば)や鎧(よろい)、13代当主までの家系のほか、素養を深めた多数の蔵書を展示する。
特に印象的なのは、幕末にオランダの医学書を翻訳して出版した『解体新書』の実物と内容の一部が見られること。当地の秋田藩士・小田野(おだの)直武(なおたけ)が挿絵を描いたことで有名だ。
ここを出て田沢湖方面に向かう国道46号線の途中に「森の駅」がある。

門脇木材が関連会社を作り、森の魅力をもっと知らせたいと開設した小さい道の駅だが、そば・ラーメン、大判焼き、地元野菜など飲食物のほか植物も販売する。その約3㌔先に刺巻湿原が広がる。一週間ほど前に訪れたときは、清楚(せいそ)なミズバショウが6割ほど咲いていた。神奈川から来た二人連れの女性は「白い花と空気がきれいで、すがすがしい気持ちになれて幸せ」と話す。
28日までは「刺巻水ばしょう祭り」が開かれ、地元の人たちが食堂と売店で飲食物や特産品を販売する(入場無料)。

湿原は約10㌶のハンノキ林の中にあり、ミズバショウは約3㌶に約6万株が咲く。国道や鉄道路線の近くにミズバショウの群生があるのは全国的に珍しい。
所々にザゼンソウがひっそりと咲き、また紫と白のキクザキイチゲのかれんな花が彩りを添え、鳥がさえずる。






