トップ文化旅・レジャー流氷体験ツアーー北海道網走市

流氷体験ツアーー北海道網走市

流氷館にも本物の塊
オホーツク文化にも触れる

北海道はオホーツク海に面する町、網走市。流氷が接岸する町として有名だが、今から1300年前のオホーツク文化の遺跡とされるモヨロ貝塚や北海道開拓の歴史を伝える網走監獄など古き時代の足跡が点在する。そんな網走周辺の魅力を発信しようと北海道中央バスとエア・ドゥ(AIRDO)が旅行ツアーを企画、そこに便乗して網走周辺の観光名所を取材した。(文と写真・湯朝 肇)
オホーツク流氷館にある流氷体験テラスで本物の流氷を体験
オホーツク流氷館にある流氷体験テラスで本物の流氷を体験

昨年に引き続く「感動の流氷体験ツアー 国宝・北海道遺産もめぐる」をテーマの連携ツアーは2月8日から10日までの3日間。札幌を午前8時にスタートし、網走に着くのはおよそ午後2時。1日目は道中、遠軽(えんがる)道の駅「森のオホーツク」に立ち寄り昼食を取った後、網走に入って流氷船オーロラ号に乗り込んでの流氷体験。2日目はオホーツク文化のメッカともいえるモヨロ貝塚を訪問した後は、網走オホーツク流氷まつりに参加、そしてオホーツク流氷館、北方民族の文化を集めた北海道立北方民族博物館の見学。3日目は博物館網走監獄と昨年国宝となった旧石器時代の黒曜石を埋蔵する遠軽町埋蔵文化センターを訪れるというツアーコースであった。

北海道網走市駅周辺の地図
北海道網走市駅周辺の地図

ところが、1日目に網走に向かう途中のバス中で「本来ならこの時期には必ずと言っていいほど接岸する流氷が全く来ず、しかも流氷船も高波ということで出港取りやめになったという報告が入りました」と添乗員が語る。そこで急遽(きゅうきょ)、コースを変更。流氷船に乗れないならばせめて本物の流氷を“拝みたい”ということで網走市内にあるオホーツク流氷館へ。館内の流氷体験テラスには合計すると100㌧にもなる本物の流氷の塊が並ぶ。実際に流氷に触ったり、濡れたタオルを振ってタオルが凍る(シバレル)のを見て寒さを感じるなど、オーロラ号に乗ることのできなかった多くの観光客が同館に押し寄せた。

動物の牙で作られた女性像「オホーツクの女神」
動物の牙で作られた女性像「オホーツクの女神」

2日目に訪問したモヨロ貝塚はオホーツク文化の貝塚である。時代は今から約1300年前。網走川河口で発見された貝塚から北の渡来民族である「モヨロ人」の暮らしぶりが明らかになってきた。同文化は本州以南にはない独特の文化で後のアイヌ文化にも大きな影響を与えたといわれている。中でも動物の牙で作られた、ワンピースを着用した女性像「オホーツクの女神」は興味深く北方民族由来を窺(うかが)わせる。

網走監獄の正面
網走監獄の正面

3日目に訪れた博物館網走監獄は、北海道の開拓を語る上で欠かせない名所。学芸員で同館副館長の今野久代さんは「北海道の開拓といえば屯田兵や入植団の活躍が出てきますが、開拓の礎になった囚人労働のことはあまり知られていません。明治24年、ここにいた1200人の囚人が屯田兵を迎えるため、旭川から網走までの163㌔に及ぶ道路工事を僅(わず)か8カ月、200人以上の犠牲を出して開通させていきました。それは過酷な労働でした」と語る。同館は現存する木造行刑建築物としては最古で、国の重要文化財に指定されている。

今回、ツアーに参加した縄文研究家の澤田健一さんは「オーロラ号に乗船できなかったのは残念だったが、あまり知られてこなかった北海道の歴史を再確認できたことはとても有意義だった。次回はぜひともオーロラ号に乗りたい」と話していた。

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