トップ文化旅・レジャー銚子電鉄に乗ってー千葉県銚子市

銚子電鉄に乗ってー千葉県銚子市

醤油の香り漂う港町
関東平野の成り立ち知る屏風ケ浦

関東地方最東端、千葉県銚子市は日本屈指の水揚げ量を誇る銚子漁港を擁し、ヤマサ醤油(しょうゆ)、ヒゲタ醤油など醤油の町でもある。屏風ケ浦(びょうぶ)などジオパークは、新しい見どころとなっている。レンタサイクルで屏風ケ浦に行き、関東平野の地層を観た後は、ローカル線の銚子電鉄に乗って終点の外川(とかわ)までゆったりと電車旅を楽しんだ。(文と写真・藤野俊之)
関東平野の成り立ちが分かる屏風ケ浦
関東平野の成り立ちが分かる屏風ケ浦

東京駅から特急「しおさい」に乗って2時間、銚子駅に着いた。駅の構内で醤油樽が出迎えてくれた。案内所でレンタサイクルを借りる。目指すは屏風岩。係の女性が「15分から20分で着きます」と地図で大体の道順を教えてくれた。

5分ほど走ると、ヤマサ醤油の工場が見えてきた。工場に近づくと、芳ばしい醤油の香りがしてきた。工場見学もできるが完全予約制なのでまたの機会にする。

銚子マリーナ海水浴場の駐車場から遊歩道が続いている。その入り口近くに伊能忠敬銚子測量記念碑が立っていた。説明書きによると、忠敬は享和元年(1801)7月、9日間銚子に滞在し、ここで富士山の方位測定をして測量の正確さを確かめ、精度の高さに自信を深めたという。

千葉県銚子市_銚子駅周辺の地図
千葉県銚子市_銚子駅周辺の地図

遊歩道を行くと、海に面して切り立った崖が続いている。屏風ケ浦は下総台地が波によって削られた崖で、銚子市犬岩から旭市刑部岬まで約10㌔にわたって続く。地層が幾重にも重なっているのがよく分かる。

説明板によると、白くくぼんだ地層が火山灰層で、最上層に見えるひび割れた地層は関東ローム層。関東平野の成り立ちが、色の違いなどでよく分かる。

駅に戻りレンタサイクルを返す時、醤油の香りのことを言うと、案内の女性は、「今日は香りがまだ弱い方です」という。風が強いからだろうか。「でもほんとにいい香りですね」とお世辞でなく感想を述べて、案内所を後にした。

地元のボランティアが駅舎でお祝いの時に着る半纏を見せてくれた
地元のボランティアが駅舎でお祝いの時に着る半纏を見せてくれた

お腹(なか)が空いたので駅前で食堂を探していると土産物屋のおばさんが、「T字路をぶつかって右にいったところに海鮮料理の店がありますよ」と教えてくれた。駅前の大きな通りを北へ行くと、前に見えてきたのはなんと、利根川だった。大きな川幅で向こう岸は茨城県。思いがけず大利根の河口風景を見、ボリュームたっぷりの海鮮丼も食べることができた。

再び駅に戻って、こんどは銚子電鉄に乗る。銚子駅から外川まで約6・4キロ、10駅を約20分で結んでいる。レトロな感じの車両に乗ると、駅ごとに社内アナウンスがあり、駅周辺の観光スポットなどが紹介される。

レトロな感じの銚子電鉄
レトロな感じの銚子電鉄

キャベツ畑などの沿線風景を見るうち、犬吠駅に着く。当初、駅から歩いて15分ほどという人気スポット、犬吠崎灯台に行く予定だったが、生憎雨模様なのでまたの機会にすることにした。犬吠の次が終点の外川駅。静かな漁師町で坂道を降りきるとすぐ漁港に出た。沢山(たくさん)の漁船が係留されている。

古びた木造の駅舎に戻り帰りの電車を待つ。その間、ボランティアの老婦人が、駅舎の中に飾られた漁船の進水式で使われた旗やお祝いの時に着る半纏(はんてん)を見せてくれた。観光を盛り上げ、この路線を守ろうという沿線の人たちの思いが伝わってきた。

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