国際映画製作者連盟の審査基準が刷新
「東京国際映画祭」がこのたび、世界の影響力の高い国際映画祭の一つに認定された。世界で認められる半面、課題も山積する。三大国際映画祭といわれるべネチア、カンヌ、ベルリンの各映画祭と実際に肩を並べられるのか。(佐野冨成)

「国際映画祭としての哲学を明確にしてほしい」
山田洋次監督からハッパを掛けられてから7年。毎年秋に開催される「東京国際映画祭」は今年、一つの大きな転換点を迎える。
国際映画祭の格付けを行う国際映画製作者連盟(FIAPF)はこのほど、審査基準を刷新し、東京国際映画祭をべネチア、カンヌ、ベルリンの三大国際映画祭と肩を並べる、世界トップクラスの「Aフェスティバル」に認定した。
FIAPFは、主に著作権の保護、映画を含むクリエイティブコンテンツの保護に取り組む組織で、世界31カ国、38の国内製作者団体を代表する立場。今回、世界29カ国・49の認定映画祭の中から、特に世界の影響力の高い17の映画祭を認定し、世界の映画産業の発展と国際的地位の向上を目指すとしている。
ベネチア、カンヌ、ベルリンの三大映画祭に次ぐ規模の映画祭を見据え1985年に創設された東京国際映画祭は17映画祭の一つに認められ、41年の歳月を経てその目的を果たしたことになる。
しかし、「Aフェスティバル」になったとはいえ、三大映画祭の壁は高くて厚い。
東京国際映画祭はこれまで、アジアや中東、北中米カリブといった映画産業が充実していない地域からの力作を発掘してきた。その後も制作支援するなどの功績が評価された。
また、日本を訪れたクリエイターたちと制作陣の交流や、制作面における金銭的支援、さらにバイヤーといった配給会社との作品に関する売買も活発に行われたことも認められ、「Aフェスティバル」へ後押しした。
こうした評価の一方でカンヌやベネチア、ベルリンだけでなく、釜山や上海の映画祭は町ぐるみで、国も住民も一体となったまさにお祭り、フェスティバル感を持たせている。東京はというと、映画好きが集まるだけで、街と映画祭が一つになるとは言い難く、毎年の課題となっている。
ところで、アジアからはこのたび、東京国際映画祭のほか、中国の上海国際映画祭、韓国の釜山国際映画祭、インドのインド国際映画祭も選出された。
中でも東京国際映画祭と上海国際映画祭は、2015年に提携し、連携を深めている。
今年で39回目となる東京国際映画祭は、10月26日から11月4日まで。日比谷・有楽町・銀座地区メインに開催される。
◎三大国際映画祭
文学性、芸術性、そして哲学的な作品を高く評価するベネチア、カンヌ、ベルリンの三大国際映画祭。それぞれの特長を見てみよう。
◆芸術性と商業性の融合-カンヌ国際映画祭
日本とも縁の深いフランスのカンヌで開催。一般客は入れず、バイヤー、監督、記者など上映される作品の関係者のみの映画祭として第2次世界大戦直後の1948年に発足した。
芸術性と商業性との融合を掲げ毎年5月に開催される。日本の作品も多く出品され、最高賞であるパルム・ドールなど数々の賞を受賞している。
◆世界最古の映画祭-ベネチア国際映画祭
国際映画祭としては最も古い映画祭。初開催は1932年。国際美術展ベネチア・ビエンナーレの映画部門として創設された。昨今は、エンターテインメント性が高い米国アカデミー賞への前哨戦と評されるなど、芸術性重視からハリウッド映画まで幅広く上映する。
日本映画を世界に紹介した最初の国際映画祭で、1951年の『羅生門』(黒澤明監督)がグランプリに当たる金獅子賞を受賞。日本映画ブームの火付け役となった。
◆政治・社会的テーマ重視-ベルリン国際映画祭
設立は1951年。東西冷戦時、ドイツ西ベルリンの文化イベントから始まり、2014年には一般入場券33万枚以上が販売され、「世界最大の映画祭」とも称される。
政治的、社会的テーマの作品を紹介し、新人監督の発掘や国際交流の推進など、映画の芸術性と社会的イメージの重視、国際的多様性を掲げる映画祭として知られる。
「Aフェスティバル」に選ばれた全17映画祭
・マル・デル・プラタ国際映画祭(アルゼンチン)
・トロント国際映画祭(カナダ)
・上海国際映画祭(中国)
・カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭(チェコ)
・カイロ国際映画祭(エジプト)
・タリン・ブラックナイト映画祭(エストニア)
・アヌシー国際アニメーション映画祭(フランス)
・カンヌ映画祭(フランス)
・クレルモン=フェラン国際短編映画祭(フランス)
・ベルリン国際映画祭(ドイツ)
・インド国際映画祭(インド)
・ベネチア国際映画祭(イタリア)
・東京国際映画祭(日本)
・ワルシャワ国際映画祭(ポーランド)
・釜山国際映画祭(韓国)
・サン・セバスティアン国際映画祭(スペイン)
・ロカルノ映画祭(イタリア)
(順不同)





