トップ文化エンタメ芸能第38回東京国際映画祭 華やかに 184作品上映 約10万人が来訪

第38回東京国際映画祭 華やかに 184作品上映 約10万人が来訪

日本作品に最優秀女優賞と観客賞

 第38回東京国際映画祭が10月27日から11月5日にかけて有楽町、日比谷、銀座を中心に開催された。今や季節の風物詩となった日比谷屋外無料上映会には、仕事帰りや観光客らが足を止め見入る姿も。上映作品184作品。約10万人が訪れた。
東京国際映画祭クロージングセレモニーでの受賞者たちの集合写真。『恒星の向こう側』で最優秀女優賞を獲得した河瀨直美(前列右端)と、福地桃子(同右から2人目)©2025TIFF
東京国際映画祭クロージングセレモニーでの受賞者たちの集合写真。『恒星の向こう側』で最優秀女優賞を獲得した河瀨直美(前列右端)と、福地桃子(同右から2人目)©2025TIFF

 最終日の5日には各賞の授賞式とクロージングセレモニーが行われた。

 映画祭の顔とも言うべき、コンペティション(コンペ)部門では日本の『恒星の向こう側』『金髪』の2作品を含む15作品を上映。東京グランプリ(最優秀作品賞)は、1936年の英国委任統治時代のパレスチナを舞台に、パレスチナのアラブ人たちがユダヤ人入植者たちと英国植民地支配への反発から起こした民族主義的な反乱を描いた作品『パレスチナ36』(パレスチナ、英、仏、デンマーク合作)が受賞。監督はパレスチナを代表する女流監督アンマリー・ジャシル。名優ジェレミー・アイアンズが英国高等弁務官役で出演した。

最優秀作品賞にあたる東京グランプリを受賞した映画「パレスチナ36」の一場面 ©2025 TIFF
最優秀作品賞にあたる東京グランプリを受賞した映画「パレスチナ36」の一場面 ©2025 TIFF

 監督は「パレスチナという地が一つのキャラクター」とパレスチナの地での撮影を危険を承知で強行したという。また監督の母親が日本生まれ(1939年)ということから「私にとっても重要な国」と初来日に喜びを隠せないでいた。

 最優秀女優賞は、日本の『恒星の向こう側』(中川龍太郎監督)から福地桃子と映画監督でもある河瀬直美が受賞。

 母の余命を知り故郷に戻った娘・未知は、寄り添おうとしない母・可那子と対立してしまう。だが母の残したテープから〝もう一つの愛〟を知った時、その母の愛を理解するのだった。

 未知役を福地、母・可那子を河瀬が演じた。

 観客賞は、高校の男性教師が突然、金髪にした生徒を巡り、保護者や学校関係者らによって振り回される姿を描いた『金髪』(公開中、坂下雄一郎監督)が選ばれた。

 その他、最優秀監督賞と最優秀男優賞は、『春の木』(中国)のチャン・リュル監督とワン・チュアンジュンが受賞し2冠を達成。『春の木』と共に最優秀監督賞に『裏か表か?』(伊・米合作)のアレッシオ・リゴ・デ・リーギとマッテオ・ゾッピス両監督。審査員特別賞に『私たちは森の果実』(リティ・パン監督、カンボジア、仏合作)、最優秀芸術貢献賞に『マザー』(テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ監督。ベルギー、北マケドニア合作)が選出された。

山田洋次監督と李相日監督による対談

映画祭期間中に行われた山田洋次監督(左)と李相日監督の対談
映画祭期間中に行われた山田洋次監督(左)と李相日監督の対談

 映画祭の見どころの一つに映画関係者同士のトップ対談がある。10月30日に日本実写映画『国宝』の李相日監督と新作『TOKYOタクシー』(木村拓哉と倍賞千恵子主演)を映画祭で上映した山田洋次監督のふたりの対談が行われ注目を集めた。

 あいさつもそこそこに山田監督から「私の作品の話はいいんで、李監督が目の前にいるので『国宝』について聞きたい、ここにいる人もそうでしょう」と身を乗り出さんばかりの勢いで李監督に冒頭から『国宝』の話題へ。李監督もその勢いに気(け)おされまいと対応する姿が印象的だった。

 山田監督が『国宝』の製作について尋ねると「設定や俳優を考え始めたのが5年ほど前から」と李監督は話し、幾つかのエピソードを披露した。主演の吉沢亮(立花喜久雄役)に関しては大河ドラマ『青天を衝け』の撮影終了と同時に依頼していたという。また、作法や踊りなどは1年かけて準備はしてきたものの、撮影に入るとそう簡単ではなかったことも明かした。山田監督からは「ふたりだったからよかったんだね」と横浜流星(鳴海俊介役)との共演が相乗効果でいい作品になったと分析した。話を聞いていた山田監督は「黒澤(明)のようなこだわりがあるようにみえる」と話すと李監督は謙遜の表情をしていた。

 対談は山田監督から「『国宝』は堂々たる大作」と評価されると李監督は「(山田監督は)私にとっては人間国宝です」と返すなど終始和やかに進んだ。

 話題は、日本の現在の実写映画やアニメについても幅広く及んだ。山田監督は、「国はもっと文化に支援してほしい」と、海外と比べて少ないといわれる国の支援の強化を要望した。

(佐野富成)

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