トップ文化書評『AIのトリセツ』黒川 伊保子 著 低年齢の利用は脳に悪影響 【書評】

『AIのトリセツ』黒川 伊保子 著 低年齢の利用は脳に悪影響 【書評】

扶桑社新書 定価1100円
扶桑社新書 定価1100円

 プロ野球の読売ジャイアンツ阿部慎之助監督(当時)の娘が親子間の暴力を伴うもめ事の解決方法を生成AI(人工知能)に求めた。その後、阿部氏が現行犯逮捕され、監督を引責辞任するという、娘が望まなかった結果を招くこととなった。

 ベストセラー『夫のトリセツ』『妻のトリセツ』などのシリーズで知られ、人工知能研究者の顔も持つ著者がタイムリーな解説書を出版した。本書は、何事もAIに尋ねる前に自分の頭で一度考える、という当たり前のことがなぜ大事なのか、脳の仕組みを含めて説明している。

 生成AIが一般に普及してから3年が経過した。今では、仕事や勉強だけでなく、進学の準備、就職活動に生成AIを使う人が増えている。

 身近な家族であっても、悩み事に対して耳を傾けてくれないことがある。一方で、どんな複雑な悩みでも否定せずに親身になって話を聞いてくれるのが生成AIだ。だから、相談相手として最適だと見なす人も少なくない。中には、恋愛対象として接する人もいる。 著者はAIを「ことばのモンスター」に例える。世の中にあるあらゆる言葉を次々とのみ込んでいくからである。人間の感情をあおる「感情ブースター」であり、アクセルを踏み込んだら暴走するスポーツカーだ。ただ、センス良く使いこなせば、最高のパートナーとなり得るのだ。

 AIにも限界はある。「ホタル」をお題にした俳句を作るよう指示したところ、リアリティーに欠けるものだった。生み出す言葉は感触を欠くものとなってしまうという。身体感覚がないことへの限界だ。

 低年齢層によるAIやSNSの利用には問題が指摘されている。外国に目を向けると、フランスは15歳未満のSNS利用制限を議会で可決したほか、複数の国がSNS規制の導入を検討している。著者は、こうした規制の動きを当然の流れと捉える。前頭前野が未発達な13歳未満の子供によるAIの使用を禁止すべきだというのが著者の持論だ。

 スマホを手放せない子供を持つ親に、ぜひとも手に取ってもらいたい一冊だ。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »