
2024年末に中居正広氏の女性アナウンサーに対する性的不祥事が発覚し、フジテレビの経営陣の辞任や企業体質への批判に発展した。これに代表されるように、最近、企業・組織で不祥事が後を絶たない。
謝罪会見では、組織のトップがコンプライアンス遵守の徹底を誓うというお決まりのシーンを目にする。著者に言わせると、不祥事は「カルチャーが消極的であるために、誤った正当化に対してモノが言えない」ことに起因する。
企業や組織に必要なものとして「コンプライアンス」と「インテグリティ」がある。どちらも不祥事を予防するための両輪であり、表裏一体の関係にあるという。
本書は2021年刊『インテグリティ:コンプライアンスを超える組織論』の続編。著者の説明では、コンプライアンスは規律・規則で、組織を縛り付けるもの。昭和時代の縦型社会に象徴されるようにルールに従って行動する時代は過ぎ去った。
一方でインテグリティは、誰かに決められたルールに従うのではなく、内なる判断基準を指す。日本語に直すと「誠実」「高潔」が分かりやすい。より現代の価値観に合うものだ。
よいカルチャーが身に付いている人や組織は、「これってインテグリティ的にどうかな」という口ぐせが浸透しているという。「お天道様が見ている」と思って、後ろめたさを感じない行動をすれば間違いない。
著者のアドバイスは、「何かに引っかかったら立ち止まる」感性を磨くこと。そうするに当たって、非日常の「場所」「人」「モノ」に身を置くことを提案している。具体的には、旅行や読書、映画鑑賞、食事会、さらに、ボランティアやイベント、異業種交流会に参加すること――などを挙げている。
日本で積極的なカルチャーが浸透しにくい理由に、「同調圧力」や道徳心を軽視した「戦後教育」があると指摘する。生きていく上で息苦しさを感じる一因なのだろう。(豊田 剛)
(中央経済社 定価2640円)





