トップ文化書評「子どもは誰のものか?――離婚後「共同親権」が日本を救う」 嘉田 由紀子著  行き過ぎフェミニズムに警鐘 【書評】

「子どもは誰のものか?――離婚後「共同親権」が日本を救う」 嘉田 由紀子著  行き過ぎフェミニズムに警鐘 【書評】

文藝春秋、定価1166円
文藝春秋、定価1166円

離婚後に共同親権が認められるのが国際スタンダード。子供の精神的、経済的、社会的な安定につながり、結果として子供の幸せに資するとされる。どんな状況になろうと父親は父親、母親は母親なのだ。ところが、日本では現在、離婚後は父母のいずれか一方を親権者としなければならない「強制的単独親権制度」が採用されている。

ようやく改善に動きだした。2024年5月17日に民法が改正され、父母双方を親権者とする「共同親権」が可能になった。26年5月24日までに施行される見通しだが、離婚後に父母が協力して子を養育する「共同親権」を、単独親権と並んで選択できるようになる。

しかし、著者に言わせると、法律は「骨抜き」でしかない。父母双方が共同親権を望む場合、または、一方が望んで裁判所が命じた場合に限り共同親権が成立するため、共同親権のハードルは高い。

著者は、国会議員になって、親の離婚によって苦しんでいる子供たちが大勢いるという現実を目の当たりにした。果たして「離婚後の子供たちは幸せになれたのか」という問いの答えを見つけるため、全国で40人を超える当事者から綿密な聞き取りを行った。

当事者との対話を通して浮かび上がったのは、行き過ぎたフェミニズムがもたらした社会の歪(ひず)みだった。著者は学生時代、ウーマンリブ運動に象徴されるようなフェミニズム思想に違和感を抱いたという。「男性による女性支配」を強調するなど男性を悪者にしないと成立しない思想で、幸せな家族のかたちがイメージできないのだ。

女性の権利が強調されるあまり、母親が子供を連れて家を出て離婚に至り、父親は面会すらかなわなくなった。行方不明となった配偶者や子供に送金するだけの「ATM」化した挙げ句、命を絶つ事例が頻発している。「実施誘拐」という言葉に象徴される悲劇だ。

片親を奪うことが児童虐待なのであり、精神疾患の原因になるという説明には説得力がある。政治家が優先して取り組むべき課題は、「子供の最善の利益」を第一に考え、「縁切り」ではなく「縁をつなぐ」家族の未来を展望することではないか。

 (豊田 剛)

文藝春秋、定価1166円

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