トップ文化書評『反日レイシズムの狂気 茂木 弘道著 客観的事実で反日デマを論破【書評】

『反日レイシズムの狂気 茂木 弘道著 客観的事実で反日デマを論破【書評】

ハート出版 定価1650円
ハート出版 定価1650円

「日本は3000万人というナチの1170万人を上回るホロコーストを行った」

こんな信じがたい言説を流布する有識者が現れた。米国の歴史学者ブライアン・マーク・リッグは、昨年3月に著した『Japan’s Holocaust(日本のホロコースト)』(未邦訳)の中で、「広範な調査によると、日本は1927年から45年まで、18年間にわたって『劣等民族』を絶滅させようと少なくとも3000万の恐ろしい大量虐殺を行った」と主張している。

ユダヤ人のリッグは米エール大学に進学した後、英ケンブリッジ大学で博士号を取得。アメリカの軍事大学や陸軍士官学校で教鞭(きょうべん)を執った経験がある。その経歴から、真(ま)に受けてしまう人が多いだろう。この説が国際社会に広がれば、国益を大きく損なうことは間違いない。

戦後、自虐史観が政治、メディア、教育現場にも広がった影響で、先の大戦における「南京大虐殺」や「韓国人従軍慰安婦」を中国や韓国が主張するままに信じる国民は多い。本書では、一次資料からリッグの主張を論破している。

その一例として、日本は1919年、第1次世界大戦後のパリ講和会議で世界で初めて「人種差別撤廃提案」を挙げている。米国のウィルソン大統領が却下したが、差別撤廃に日本が尽力してきたことは記録に残っている。南京事件を巡っては、中国が虐殺の根拠とする数多くの写真を出しているが、これらは中国国民党中央宣伝部の「撮影課」が撮影所で撮った捏造(ねつぞう)写真であることを説明している。

リッグは広島と長崎に落とされた原爆について、「原爆がなければ、1945年11月の日本侵攻はおそらく成功し、何百万もの犠牲者を出していただろう」と記す。日本が行った虐殺に比べれば、広島の14万人、長崎の7万人の犠牲は「大したことない」と言い放つ。日本を極悪非道な国として見下げることで、米国がこれまで行った非人道的な行為を正当化しようとする意図が透けて見える。

今年は戦後80年という節目の年。客観的事実に基づいて正しい歴史を認識し、反日プロパガンダを克服する機運が高まることを期待したい。

豊田 剛

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