トップ文化書評『鬼無のももたろう』タイチ絵・鬼無観光協会文 鬼の供養をした桃太郎【書評】

『鬼無のももたろう』タイチ絵・鬼無観光協会文 鬼の供養をした桃太郎【書評】

『鬼無のももたろう』 タイチ絵・鬼無観光協会文  鬼無観光協会 定価2500円(送料込み)

今年4月、香川県高松市で「桃太郎の鬼退治」伝説が伝わる8団体が参加し、第20回桃太郎サミットが開かれた。テーマは「本当は鬼とも仲良くしたかったきなしの桃太郎」。大会記念に作られたのが本書。

香川の桃太郎伝説は、吉備(岡山)の鬼退治に来た吉備津彦命(きびつひこのみこと)の弟・稚武彦命(わかたけひこのみこと)が隣の讃岐の国に来た時、土地の住民が鬼の出没で苦しんでいるのを知り、周囲の島に住むイヌ・サル・キジを率いて鬼を征伐したというもの。

その鬼が住んでいたのが女木島で、鬼がいなくなったことから高松市に鬼無(きなし)という町ができ、桃太郎神社もある。ちなみに桃太郎神社があるのは愛知県犬山市と高松市だけ。

その後、鬼は桃太郎に逆襲してきたが、返り討ちに。鬼たちの屍(しかばね)を埋め供養したのが、神社近くにある「鬼ヶ塚」で、伝説の後段が大会テーマにつながる。

面白いのは、この話ができたのは女木島に大洞窟が発見された大正3年という新しさ。県内の小学校教員で郷土史家の橋本仙太郎が昭和5年、新聞「四国民報」に「童話『桃太郎』の発祥地は讃岐の鬼無」という記事を連載したのが始まり。

橋本は24歳の大正3年、当時の首相・大隈重信が金毘羅(こんぴら)参りの途上、鬼無駅で行った「キナシとは面白い地名だ。村人諸氏は地名のように心の中に鬼が無いよう努力されたい…」という演説を聞いて郷土史研究を始め、その16年後に地元紙に発表したのである。翌年、大阪商船が、道後温泉や宮島とセットで女木島を売り出してヒットし、香川の桃太郎伝説が広まった。

鬼無の桃太郎神社では毎年4月「鬼無桃太郎まつり」があり、桃太郎コスプレウオークや獅子舞、子供相撲やキッズダンスなどで賑(にぎ)わう。そんな地域の盛り上がりが楽しい絵本を生んだ。購入は鬼無観光協会オンラインショップ(https://kinashikanko.stores.jp/)へ。

多田則明

鬼無観光協会 定価2500円(送料込み)

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