トップ文化書評『許されざる者たち』島田 洋一著【書評】

『許されざる者たち』島田 洋一著【書評】

国を売る人たちを一刀両断

Hanada新書 定価1089円
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クリント・イーストウッドがメガホンを取った復讐(ふくしゅう)がテーマの西部劇を想起するが、ここでは誰のことを指すのか。

昨年秋の衆院選に日本保守党から出馬して当選した著者、島田洋一氏の言葉を借りると、「24時間国を売る人たち」だ。国を衰退させながら、「自分たちのみ利権を得る」人々とその手口を実名入りで明らかにしている。「実話であり最悪の失敗例」を示しつつ、「その失敗を繰り返さないための政策・処方箋」となっている。

許されざる者たちの筆頭格は国会議員だ。「自民党の溶解に最も責任が大きかったのは、言うまでもなく『アメリカの圧力』に迎合した岸田文雄首相(当時)である」。著者が真っ先に批判する岸田氏は、LGBT理解増進法を首相として自ら主導して成立させた。安倍晋三元首相が存命なら成立することはなかったと断言している。

石破茂首相については、ひたすら左翼に迎合する政治家で、「そもそも誕生すべきではない政権」と酷評している。両氏をはじめ、米国に物を言えない政治家や官僚が「欧米の失敗を周回遅れで猿真似する」ことで、日本は自縄自縛に陥り衰退すると憂える。

日本を貶(おとし)める許されざる者には、歴史問題を利用して日本たたきする国々も含まれる。この文脈から、何度も首相の座を狙う河野太郎前デジタル担当相への警戒を怠らない。

こうした政治家とつながる人権活動家や国連についても一刀両断している。米国のトランプ大統領は特定の国連組織から離脱した上で資金拠出を停止し、国際組織に対する米国の支援を見直す大統領令に署名した。日本も、税金をつぎ込んで国益を害するのをやめるべきだと提言している。

菅義偉(すがよしひで)首相時代、会員候補6人が任命されず話題になった日本学術会議も問題視する。連合国軍総司令部(GHQ)の意向でできた戦後レジームを象徴する団体。廃止を求めている。

          豊田 剛

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