
幸福の科学の取材でウガンダへ行き、たまたま出会った天理教の日本人に、ウガンダ人を宗教に結び付けるのは「結局お金ですよ」と身も蓋(ふた)もない話を聞かされたり、ブルキナファソで偶然アフリカ人の真如苑信者と出会ったり。本書は著者がアフリカ各国を訪ねて出会った日本の新宗教の信者から見聞きした内容をまとめたルポである。
宗教に興味があると言うと、日本では否定的な捉え方をされることが多いが、アフリカでは「哲学的で真面目な真実を追い求めている人」となる。西アフリカで盛んな崇教真光にしても、日本の新宗教はアフリカ人に「東洋発の新しい精神運動」と好感を持って迎えられているようだ。
ブルキナファソでは創価学会員のアフリカ人男性に話を聞き、妻はイスラム教徒、子供はキリスト教徒と、多宗教な家族と出会う。かつてカトリックだったアフリカ人学会員からキリスト教信仰と仏教信仰の違いを説明されたり、別のアフリカ人学会員から日蓮正宗と創価学会の対立の話を聞き驚嘆したり。ガーナに日蓮正宗のお寺があると聞いては早速話を聞きに現地へ赴く身軽さだ。
現在、日本政府から不当な宗教弾圧を受けている旧統一教会についても一章を割いて説明している。「合同結婚式」でアフリカ人男性と結婚した日本人女性にインタビューし、異国の地で4人の子供を抱えながら夫に先立たれ、大変な苦労をしながらも「真の理想家庭」を目標に歩む姿や、アフリカ人信者とのインタビューを通してアフリカにおける旧統一教会の活動内容などをありのままに偏見なく伝えている。
アフリカに地道にコツコツ投資してきたのは、日本の新宗教だ、と言う著者の言葉が印象に残った。
長野康彦
ちくま文庫 定価990円