
京都・紫野の大徳寺の開創700年を記念した特別展「大徳寺 本朝無双之禅苑(ほんちょうむそうのぜんえん)」が東京国立博物館で10月14日~12月6日に開かれる。これに先立ち、同博物館で特別展の概要について報道発表会があった。
臨済宗大徳寺派の大本山である大徳寺は、宗峰妙超(しゅうほうみょうちょう)(大燈国師(だいとうこくし))による開山以来、一休宗純(いっきゅうそうじゅん)、沢庵宗彭(たくあんそうほう)など各時代を代表する名僧を輩出し、天皇、そして織田信長や豊臣秀吉などの戦国大名、千利休などの茶人たちの信仰を集め発展してきた。中でも後醍醐(ごだいご)天皇はこの寺を「本朝無双の禅苑」と讃(たた)えた。
大徳寺の福代洋道宗務総長はあいさつで「大徳寺は応仁の乱で灰燼(かいじん)に帰したが、一休和尚に深く帰依(きえ)した堺の豪商らによって次々と復興されていった。東山文化を担う人々が一休に参禅して以来、大徳寺の茶の湯は盛んとなり、多くの茶人たちが大徳寺と関係を持つようになる。多くの戦国大名たちも大徳寺僧に帰依し、それぞれの菩提寺(ぼだいじ)を建立寄進するようになったことで、現在の基盤に繋(つな)がった」などと述べた。
特別展は、それら塔頭(たっちゅう)や大徳寺派の寺院を含む山内の寺宝を一挙公開する。水墨画の最高傑作と言われる中国・南宋の禅僧牧谿(もっけい)作「観音猿鶴図(かんのんえんかくず)」や高僧たちの肖像画、開祖・大燈国師や一休宗純の墨跡(ぼくせき)、後醍醐天皇の御宸翰(ごしんかん)、狩野永徳(かのう えいとく)の障壁画、ゆかりの武将の肖像、さらに茶人や武将たちに愛された茶道具の名品など、国宝多数を含む展示となる。
東京国立博物館の浅見龍介副館長は「今回の展覧会のリストには大変自信を持っている。今後もなかなかこれだけのものを揃(そろ)えるのは難しいと思う」と特別展が貴重な機会であることを強調した。同博物館の三笠景子東洋室長は、大徳寺の禅風は峻烈(しゅんれつ)なものであると述べ「開祖・宗峰妙超の生きざまの激しさを伝える法衣(ほうえ)がある。亡くなる際に足を痛めていたにもかかわらず、結跏趺坐(けっかふざ)をしたため血が噴き出したと伝わっている。ぜひ、会場で近くから見てその気炎を感じていただきたい」と語った。
大徳寺の三門の上層部は千利休が寄進したものだが、楼上に等身大の利休像を安置したことが、豊臣秀吉の怒りを買い、利休は切腹を命じられ、像は一条戻橋(いちじょうもどりばし)で磔刑(たっけい)に処されたという話は有名だ。その上層部は非公開だが、特別展では天井に描かれた長谷川等伯の天井画などを含め上層部を再現し、本尊と明治時代に寄進された千利休像が初めて公開される。実に見どころの多い特別展となっている。
(特別編集委員・藤橋 進)






