
今年は米国で建国250周年を迎え、連邦政府、州政府、地方自治体ではこれを祝う盛大な式典を準備している。7月4日は独立宣言がなされた日で、この日を中心に6月25日から7月10日にかけて、ワシントンDCのナショナルモールで祝賀行事「グレート・アメリカン・ステート・フェア」が開催される。
また5月から7月にかけて海洋祭典「セイル・フォース・250」が開かれ、20カ国以上から集結した60隻以上の帆船と軍艦が、ニューオーリンズ、ノーフォーク、ボルティモア、ニューヨーク、ボストンなどを訪問。ニューヨークでは7月3日から8日までの期間、米海軍航空機による飛行展示も開かれる。
米国で「独立誕生の地」と呼ばれているのはマサチューセッツ州のボストンだ。かつてこの街を訪れて「フリーダム・トレイル」と呼ばれる道を歩いたことがあった。独立にちなむ建物を巡る道で、れんが敷きの歩道に赤いラインが埋め込まれている。
この街は、現代的な高層ビルと古いれんが造りの建物とが同居していて、過去と現在が混在し、活気のある明るさの中に深いほの暗さが混じり合い、勤勉で知的で実直な雰囲気を漂わせている。
地図で見るとボストン湾に臨む半島の真ん中辺りに市庁舎があり、これを中心に放射状に延びる道路と、これを囲んで同心円状に広がる道路から成っており、フリーダム・トレイルが観光客を案内する。
その市庁舎の近くにあるのが州会議事堂で、摩天楼に囲まれて小さく見えるが、「小さな宝石箱」と呼ばれる魅力的な建物になっている。1階がミュージアム・ショップと船舶などの模型を展示したマリーン・ミュージアムで、2階が17世紀から19世紀にかけての社会的事件を武器や生活用品で伝える歴史展示室になっている。
建てられたのは1713年で、その頃、1階は貿易関係の業務に使用、2階は知事の会議室や議会の議場として使われた。独立宣言が読み上げられたのはこの議事堂の東側のバルコニーだったという。
ミュージアム・ショップで売っていたのが、『フリーダム・トレイル』というガイドブックで、著者はチャールズ・バーンという歴史学者。表と裏の表紙に使われているのが1768年にポール・リビアが制作したという版画で、ボストンの街の鳥瞰図(ちょうかんず)だ。独立宣言のなされた舞台が、手に取るように描かれている。
著者はこのガイドブックを「なぜ独立革命が、なぜボストンで起きたのか」というテーマで書き出している。若い判事の質問と、戦った老兵の応答でそれを伝える。
「なぜコンコードの戦いに参加したのですか。印紙税法で圧迫を受けたためですか、茶法のためですか」「いや、いや、全部違う。私らがなぜ、赤い服を着た英国軍と戦ったかというと、こうだ。それまではいつも自分たちで身を処してきた。これからもそうするつもりだった。だが彼らはそうさせまいとしたんだ」
これが独立革命の本質だと著者は言う。マサチューセッツ州では革命が起きる1世紀半も前から自治の政治形態を取り、ボストンの市民は実質的にロンドンの市民よりも多くの権利を持っていた。
政治生活の形態が大西洋の反対側の人々から離れて成長した結果、違った政治言語を使うようになった。これをさかのぼってたどっていくと、1620年に信教の自由を求めてマサチューセッツ湾にたどりついた巡礼始祖に至る。
(増子耕一)






