
「秋田公立美術大学卒業・修了展」が12日から16日まで、秋田県立美術館と秋田市の文化創造館、にぎわい交流館AU(あう)、同美大サテライトセンターの4会場で開かれた。
卒業生約100人、修了生約15人の中には粗削りな作品もあるが、すでに社会で活躍している学生もいて、総体的に未来への新鮮な息吹を感じる。
同美大は五つの専攻科からなるが、特徴として相互の横断的な関わり合いが許容・奨励されている。極論の想定では、街づくりを目指す学生が、試験的に借りた建物に彫刻作品を飾り、音声映像を流し、アニメを描いた小冊子を展示し来場者と積極的に交流する――などということも学生の意欲次第では可能だ。
全会場は回れなかったが、学生の個性と同様、記者の関心も限られてしまう。写真写りがいいという点では彫刻や絵画に目がいく。そして街づくり(景観)やガラスのきらめきに心が惹(ひ)かれる。
野口茜さんの等身大を超えた大きさの彫刻「私の軌(みち)」は石粉粘土と布、針金を用いた。
強風が吹き荒れ身が引きちぎられそうな中で一枚の布に手を絡め立ち向かっていく姿は「悩みや葛藤を抱きながら、その不条理な構造さえも理解し、覚悟を決めて自らの手でつかみ取ってきた」との野口さんの思いがよく表現されている。
15点ほどのガラス皿で構成された山岡楓さん「冬季」は、ガラス特有の光との協演が華やか。信楽(しがらき)の土や、釉薬(ゆうやく)にチタンマット、灰、海鼠(なまこ)を用い、凹凸に加え青や緑の色も映える。
街づくりは何人かが発表した。北前船の待合寄港地として栄えた山形県の飛島を鳥海山とともに聖地巡礼の場とする「飛島聖体示現」構想や、大学のある秋田市新屋(あらや)勝平(かつひら)地区を歴史や地形を考慮し美容室や食堂、遊び場など5棟で生まれ変わらせるアイデアが示された。
変わったところでは、豚の皮を再利用する試みがあった。盛岡市出身のブラネン新那サイデさんは生命、刺繍(ししゅう)、踊りがテーマで、養豚場の協力を得て豚の皮をなめし、服に仕立てた。
「私たちは肉を食べることで命をいただいている。ライフログアートのジャンルに取り組んでいますが、ぬいぐるみにして持ち歩いたり、活用の仕方を研究しています」とブラネンさんは言う。
(伊藤志郎、写真も)






