
キリスト教社会に伝わる短い祈りの言葉がある。
「神よ、変えることのできないものを受け入れる落ち着きを、変えることのできるものを変える勇気を、そして、その違いを見分ける知恵を与えてください」
これは「ニーバーの祈り」と呼ばれるもので、アメリカの神学者ラインホールド・ニーバーが1943年ごろに説教の中で用いたのが始まりとされている。
やがてこの祈りは、アルコール依存症克服のための自助グループや、カウンセリング、心理療法などの現場でも使われるようになり、信仰の枠を超えて人生訓として受け継がれていった。
叶(かな)えたい夢があるならば、人はその夢に向かって一生懸命努力すればいい。自分ひとりの努力で済むものなら、それもできるだろう。だが、相手が伴う場合、様相は違ってくる。自分がいくら努力をしても相手が変わらないことなどいくらでもある。
人の心は変えられないし、過去を変えることはできない。だが、自分の心は変えることができ、未来も変えることができる。変えられないものを現実として受け止め、そこに執着することなく、変えられるものを少しでも改善していくことが大切である。
自分の力が及ばない領域を冷静に受け入れる謙虚さと、自分の考えや行動を改めていく勇気。まず自分を変えていければ、自然と環境にも周りの人たちにも変化が訪れ、これまでとは違った景色が見えてくることもあるに違いない。(風)






