トップ文化巨大なサロンだった神保町 「Zine&Book フェス」で吉見俊哉氏・鹿島茂氏が対談 大学と本の街、今や「世界一クールな街」に

巨大なサロンだった神保町 「Zine&Book フェス」で吉見俊哉氏・鹿島茂氏が対談 大学と本の街、今や「世界一クールな街」に

対談する吉見俊哉氏(左)お鹿島茂氏=東京・神保町の出版クラブホール
対談する吉見俊哉氏(左)お鹿島茂氏=東京・神保町の出版クラブホール

 東京・神田神保町の出版クラブホールで今月、「Zine&Bооkフェスin神保町」(主催・東京文化資源会議)が開かれた。zine(自主製作本)作りのワークショップのほか、本について専門家・有識者の対談などが行われ、國學院大学教授で都市論・文化社会学が専門の吉見俊哉氏とフランス文学者で『神田神保町書肆(しょし)街考』の著者である鹿島茂氏が「神保町・本の文化のこれから」をテーマに対談した。

 約1時間の対談の前半、神田の古本屋街の成り立ちが語られた。鹿島氏が神保町周辺に明治、中央、法政など法律学校から始まった大学が集中した歴史的背景を説明。これを受け、吉見氏は「神保町は巨大な大学連合であり、神保町という町が大学だった」と指摘する。

 鹿島氏は、その学生が使わなくなった教科書のリサイクルをしたのが神保町の古本屋の出発点にあったと説明。これはパリの学生街カルチェラタンや古書店と同じという。

 さらに鹿島氏は、神保町が古書街として発展した理由を語る。

 「かつて日本の大学は英語で授業を行い、教科書も英語だった。ところが古本屋の立場からすると、一番売れる本が一番仕入れにくい。それを解決するために、神保町に古本屋がたくさん集まった。ヨーロッパの古本の仕入れは公開方式だが、日本はクローズなマーケット。古本屋が本を売りたい人の所へ行ってまるごと買う。すると中には自分と関係のない本もあるので、それをマーケットに出すと、その専門の古本屋が買う。こういう流通システムができ、古本屋も専門店化していった」

 神保町は古書の街であるとともに新刊書店の街であり、出版社の街だ。大手出版社の多くが集まっている。「出版社の発展を見てゆくと、ほとんどがもともとは古本屋だった。しかし一番売れそうな本は手には入りにくい。それじゃあ自分で出しちゃおうと。これが出版社の原点」(鹿島氏)

 吉見氏が神保町にはいろんな大学の学生や先生、そして書店が集まり、ユニークな空間をつくっていることを指摘すると、鹿島氏はそれを「街全体が巨大なサロン」と表現する。

 日本を代表する古書街の神保町は、英国の情報誌『タイムアウト』で「2025年世界で最もクールな街」第1位に選出されるなど、世界でも注目を集めている。吉見氏はそのクールさの背景に文化性とコスモポリタニズムを指摘した。

(特別編集委員・藤橋 進)

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