トップ文化敵役も光った仲代達矢【東風西風】

敵役も光った仲代達矢【東風西風】

 俳優で文化勲章受章者の仲代達矢さんが92歳で亡くなった。仲代さんは、舞台と映画両方で活躍し、主役でも敵役でも存在感のある演技を見せた。
 スター性より演技の実力で勝負した。そんな経験があるから若手俳優養成を目指した「無名塾」で役所広司などの実力派俳優を育てることができた。

 その俳優としての実力が、広く茶の間でも知られるようになったのは、昭和47(1972)年のNHK大河ドラマ『新・平家物語』で、主役・平清盛を演じたあたりだろうか。

 映画で演じた役としては、主役を演じた黒澤明監督の『影武者』『乱』などがまず挙げられるが、コラム子はモノクロ時代の『用心棒』『椿三十郎』で、主演・三船敏郎の敵役が印象に残る。

 椿三十郎と果たし合いをする場面は、映画史に残る名場面と言われるが、仲代の持つ凄(すご)みがこの名場面には欠かせない。

 仲代の演技に深さと味わいを感じたのは、日露戦争の旅順攻防戦を描いた『二百三高地』(1980年)の乃木希典(まれすけ)。丹波哲郎が切れ者の児玉源太郎を演じたのに対し、仲代は軍人であるとともに人間でもある乃木希典を演じた。乃木の内面にまで迫った演技は忘れられない。

 最近たまたま観(み)た1957年制作の『大番』では、主演の加東大介演じる株屋の赤羽丑之助の友人、新どんという脇役を演じていた。友人思いの落ち着いた役を違和感なく演じていた。演技の幅の広さはこんな時代から培われていたのだ。(鳩)

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