トップ文化植田正治写真美術館開館30年『夢見るカメラ』 代表作と愛用のカメラ展示

植田正治写真美術館開館30年『夢見るカメラ』 代表作と愛用のカメラ展示

植田正治写真美術館の大山と水に映った逆さ大山を眺めるコーナー
植田正治写真美術館の大山と水に映った逆さ大山を眺めるコーナー

大山と逆さ大山眺めるコーナーも

 出生地である鳥取県境港市を拠点に独特の表現で世界的に活躍した写真家、植田正治(1913~2000年)の作品を収める伯耆町(ほうきちょう)の植田正治写真美術館では、開館30年特別企画展『植田正治 夢見るカメラ』が開かれている。

 植田正治は、鳥取砂丘を舞台に妻や子供たちを配置し、それぞれポーズを取らせたシュールレアリスム的な写真で独特の世界を築いた。フランスでは、それを日本語表記そのままにUeda-cho(植田調)と表現しているほどだ。植田を師と仰ぐシンガーソングライターで写真家でもある福山雅治さんのCDのジャケットを手掛けたことでも知られる。

 植田が初めてカメラを買ったのは1928年(昭和3年)15歳の時。それから70年の間、故郷の山陰から拠点を移すことなく、鳥取砂丘に人物をオブジェのように配した『砂丘』シリーズや『童暦』シリーズなどの傑作を撮り続けた。土門拳らによる絶対非演出のレアリスムが主流となる中でも、演出を加えた独自の表現を追求した。

 70年の写真キャリアの中、さまざまな写真表現に挑戦し、その可能性を追求し続けた。植田のこのような活動の原動力は、本人が言うように「写真することがとても楽しい」と感じ続けることにあったようだ。

 「写真を撮る」と言わず、「写真する」と言うところに植田独特の写真観が現れているといえよう。カメラや写真に出会った時の感動、それをいつまでも持ち続けていた。そこから写真表現の無限の可能性が開かれていく。

 その可能性を切り開く上でカメラが重要な役割を果たしてきた。記念展では、『パパとママとコドモたち』『少女四態』、シリーズ『小さい伝記』、シリーズ『風景の光景』など植田の代表的な作品と共に、愛用のカメラそのものや同機種のカメラを展示している。

 開館30年を迎えた植田正治写真美術館は、伯耆富士の別名を持つ大山の麓の田園地帯にある。島根県出身の建築家・高松伸の設計によるモダンな建物だ。美術館の中から、大山と水に映った逆さ大山を眺めて楽しむコーナーもある。

 同展は12月10日まで。宮崎県の都城市立美術館では、『写真展 植田正治 写真することがとても楽しい』が開催中(12月7日まで)。『ボクのわたしのお母さん』など初期から晩年まで150点以上の作品と資料を展示する。

(特別編集委員・藤橋 進)

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