
街おこし続ける〝白岩焼陶芸組合〟
秋田県の中央部、仙北市白岩(しらいわ)地域で、復活した白岩焼を中心に街おこしを続ける団体がある。〝白岩焼陶芸組合〟だ。
白岩地域は、桜で有名な角館(かくのだて)から東に車で約15分ほどだが、角館より古い城下町にもかかわらず、周辺の田沢湖や抱返り渓谷、わらび座ほどには知られていない。同組合では地域の観光資源を含め、もっと多くの人に来てほしいと、大仙市で先日開かれた「あきた元気ムラ大交流会」で地域の魅力を訴えた。
白岩焼は、福島県相馬の陶工・松本運七が明和8(1771)年に白岩で上質な陶土を発見したことから始まった。次々と登り窯が作られ、幕末の最盛期にはカメ、ツボ、食器など多彩な生活用品を含め年間4万個もが県内外に販売され、5千人が従事する白岩の一大基幹産業となった。
しかし時代の流れと、明治29年の陸羽(りくう)地震(東北地方最大規模の直下型地震)が追い打ちをかけ、130年の歴史に終止符が打たれた。
昭和49年、再興の流れが一人の女性から始まった。住民有志で結成した同陶芸組合もその一翼を担い、平成25年からは「白岩焼陶芸塾」で陶芸体験教室を開き、一般人はもちろんオーストラリア国立大学の短期留学生や地元の小学生に教えている。
先日の大交流会展示ブースで同組合の下田三千雄さんは「白岩焼は、伝統的な深い青味の海鼠釉(なまこゆう)をはじめ、形も色もさまざまに発展しています。コーヒーカップや皿などを作る体験教室にぜひおいでください」と、地域の資源も説明してくれた。
雲厳寺(うんがんじ)は、角館町では最も古い室町時代・宝徳2(1450)年の創建。県の重要無形文化財である山門には、東北の左甚五郎(ひだりじんごろう)と呼ばれた円満造(えまぞう)作の仁王像がある。彼は秋田民謡「ドンパン節」の作者としても有名だ。
また冬の2月には、白岩地域の活性化に取り組む住民グループ「白岩村おこし プロジェクトS」が白岩城址燈火祭を20年以上にわたり開いている。中世の豪族、白岩氏の山城だった館山(たてやま)には聖獣・麒麟(きりん)をかたどった500個のかがり火が焚(た)かれ、メーン会場の「平城跡」は200個のミニかまくらで彩られる。大学生も加わっての踊りや、火振りかまくら、雪中「白岩ささら」、花火、甘酒や料理の振る舞いもあり、光の一大ページェントが展開される。
※白岩焼ろくろ陶芸体験 電話090(6455)5203 木元。
(伊藤志郎、写真も)





