トップ文化江戸時代の風情残す橿原市今井町 観光と生活の両立探る【宗教思想】

江戸時代の風情残す橿原市今井町 観光と生活の両立探る【宗教思想】

今井町の町並み。江戸時代にタイムススリップした気分に(藤橋進撮影)

若い人が空き家に移住しカフェに

商家や武家屋敷、宿場など伝統的な建物がまとまって残り、重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に指定された地区が全国に129ある。これらの地区の多くは観光地化され、外国人観光客も多数訪れている。一方で、本来の風情や生活のにおいは薄れているという憾(うら)みがある。観光公害も課題だ。

そんな中でもまだ観光地化されていない重伝建地区も少なくない。平成5年に重伝指定された奈良県橿原(かしはら)市の今井町もその一つ。周囲に堀を巡らした一向宗の寺内町で、江戸時代には商人の町として栄え、「大和の金は今井に七分」とまで言われた。東西600㍍、南北310㍍の地区には、全建物戸数約760戸のうち約500件の伝統的建造物があり、1地区内の数では日本一だ。国の重要文化財9件も含む。

近鉄八木西口駅から歩いて数分。保存地区に入ると、古い町並みが遠くまで続く。観光客の姿もほとんどなく、時折、下校途中の子供や地元の人が自転車で通り過ぎるだけ。江戸時代にタイムスリップした気分になる。奈良観光の穴場である。

所々お店やカフェがあるが、「あ、やっているんだ」というくらい、控えめな店構えだ。とはいえ観光客を拒否しているわけではなく、案内所には今井町町並み保存会・今井町自治会作成の「今井町イラストマップ」などが置いてある。

今井町の町並み保存活動に携わる秋葉幸仁・日本の寺子屋理事兼事務局長は、「ほかの重要伝統的建造物群保存地区では、いろんなお店もできて観光客を呼んでという所も多いですが、ここは住民の方も落ち着いて住みながら、程よく観光客を受け入れ、バランスを取りながら進めているところです」と言う。

今井町も全国の地方の町と同じように、空き家も増えているが、そこに町が気に入って移住してきた若い人が、カフェなどの店を開くというケースも出てきているという。

政府が目標に掲げる「2030年に訪日客数6000万人、消費額15兆円」達成の鍵は、地方への誘客。そんな中、今後、地方の町並みへの関心はさらに高まるとみられる。今井町の取り組みは、保存と活用の一致を目指すモデルケースとして注目される。

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