トップ文化幻の名工・長康亭道三 南画、唐人画を繊細に 秋田県立博物館

幻の名工・長康亭道三 南画、唐人画を繊細に 秋田県立博物館

左が茶湯飲み、右が唐人図

江戸時代の末から明治にかけて活躍した秋田の陶器作家・長康亭(ちょうこうてい)道三(どうさん)の作品と人物像を、秋田県立博物館(秋田市金足)が「幻の名工 長康亭道三のわざ」として人文展示室コーナーで紹介している。

日用雑器を大量生産した時代だが、「道三のような自由な作風の個人作家は非常に珍しい存在」(解説)で、作品も少なく好事家の間では幻の名工と呼ばれている。

道三は磁器や陶器の絵付けに優れ、作風は彩色豊かな南画風のものが多い。南画とは、山水を柔らかな感じに描き気韻を尊ぶ画風で、花鳥や山水画、唐人画を繊細に描いた。

写真はいずれも道三の色絵楽焼で、左が茶湯飲み、右が唐人図。似た絵柄で、いずれも貫入(かんにゅう)がある。顔のひげや目、口元、着物の柄など繊細な描写と色使い。ほかに染付波千鳥の茶入も展示している。

本名は竹内謙治、生まれは文化8(1811)年、旧田沢湖町卒田と言われる。京焼を修行した後、秋田に帰って寺内焼の磁器窯を秋田藩から一任された。寺内焼は約百年にわたり日常雑器を生産した窯だが、道三は技巧に秀で文人趣味にも造詣が深かったが経営手腕はいま一つだったようで、ほどなく事業に失敗し窯主の座を降り、同じ秋田市の八橋(やばせ)に移り住み80歳すぎまで作陶したと伝わる。同展示は来年3月末まで。

 (伊藤志郎)

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