
先日、愛鳥週間に合わせて日本野鳥の会秋田県支部主催の写真展が秋田市で開かれた。会員の一人は「楽しみ方は百人百様」と語る。
身近なスズメやホトトギスからカワセミ、ハクチョウまで、野鳥は国内で約550種いる。そのうち秋田県では毎年300種前後を確認。北や南からの渡り鳥も多い。
県内で有名な観察地は大潟村だが、同支部では秋田市なら高清水公園と千秋公園、また大館、由利本荘、大仙、横手の各市でも観察会を実施。全国各地でも同様の催しがホームページに載っている。
楽しみ方だが、望遠レンズを付けたカメラで写真を撮るだけではないという。鳴き声を観察・録音する、俳句や短歌に詠む、あるいは珍しい鳥を探す“ハンター”もいれば、ビデオカメラで撮る、望遠鏡で鳥の生態を調べるなど百人百様。同会では自由に楽しんでほしいと話す。
写真展の会場で「撮影者による写真説明文集」を頂いた。その内容が、とても興味深い。撮影場所は、自宅の庭やお気に入りの公園・海岸もあれば、寒い農道で4時間待って撮影した会員もいた。
職場駐車場の砂利で子育てしているコチドリを撮った会員は、テープで囲み職場全員で一家を守ったと記す。雪が降る2月、自宅の庭木に止まる珍しい鳥を撮影し、ご主人に見せたところ「やあー、40年ぶりだな」とトラツグミであることが分かり、一日中目が離せなかったという。
水たまりのある場所でクロツグミが黄色いくちばしを大きく開けて「キョコキョコキョローン」とさえずる、冬に毎日来て庭のガマズミの赤い実を1カ月かけて食べ尽くしたシロハラ、春と秋の渡りの時期に林や公園に現れ頭から尾羽まできれいな瑠璃色のコルリ(成長オス)、大好きな合歓木(ねむのき)の花に出現したコムクドリ、春の渡りの時期に「キョロロロ」とさえずるアカショウビン。
ただ心配なこともある。川の護岸工事で鳥のすみかが消失していくこと、そして鳥インフルエンザの影響だ。
(伊藤志郎)