
「マナーを守って」楽しく観察
秋田県の南部、由利本荘市に隣接した大内町(おおうちまち)に、森を整備したところカタクリの群落が思いがけず出現した森がある。私有地のため、山主の許可を得た自然保護団体の立ち合いのもと観察会がこのほど開かれた。
主催したは本荘海岸林を守る会(保科恵一代表)。この日は小雨が降っていたため紫色のカタクリの花は完全には咲いていなかったが、確かに山一面に花が見える。まさに「足の踏み場もないほど」の群生だ。この森に行くには未舗装の林道を車で進むが、車を降りた道にも至る所にカタクリが生えている。葉っぱが縞(しま)模様で特徴的だ。
場所は、大内地区の権現山(ごんげんやま)の麓。約15年前から12年間、国の森林整備の事業で雑木林約13㌶を整備したところ、そのうちの8㌶でカタクリの群生が出現した。そのうち2㌶は由利本荘市の市有地で、残りは個人の所有地である。
山林に生えている広葉樹の除・間伐、つる切り、笹や野ばらなどを刈り取り林床に光が当たるようにしたところ数年してきれいなカタクリの群生が出現し、整備した人達は驚いた。
しかし、あまりの美しさゆえに口伝えで広めたところ、ガムの銀紙が捨てられたり、栽培しているキノコが持ち去られる事件が発生。山主からは「宣伝をしないで下さい」と言われている。今は主に前述の守る会が窓口となり観察会などを開いている。
カタクリは雪解け後の春先に2カ月ほど花を咲かせる。5月に種が落ち、アリによって運ばれて広がるのだ。
この森にはナラやクリ、ヤマザクラなどの落葉広葉樹林が広がり、その若葉が広がってくる頃にはカタクリの地上部は枯れてなくなり、翌年の春までは地下の鱗茎(りんけい)のまま休眠状態に。春に葉を出して光合成を行い鱗茎に栄養をため、毎年少しずつ葉を大きくするため開花まで7年から10年もかかるという。
同会の関係者は「山菜など草花を含め採取禁止です。採るのをやめて写真を撮ったり見るだけにしてください。芽吹き前の木の芽や枝などの自然観察もおすすめですし、いろいろな人との交流の場にもなれたらと企画しています」と語った。
(伊藤志郎)





