キツネとカモシカが合流

キツネの歩いてきた道とカモシカの歩いてきた道が合流する――そんな場面に遭遇できるのが冬のスノートレッキングの魅力の一つだ。
秋田県秋田市雄和(ゆうわ)には、秋田空港と国際教養大学がある。同大学に隣接する森林学習交流館プラザクリプトンには「学習交流の森」が付属し、子供たちが樹木や自然を学ぶ場所として親しまれている。
先日、南北600㍍、東西400㍍ほどのこの森をスノーシューを履いて歩いた。国内外の多くの樹種と、スギやアカマツの苗も育てる。立ち入り禁止区以外は誰でも自由に散策・観察が可能だ。
雪が積もった道路の周辺にはウサギやタヌキ、テンなど動物の足跡が幾つも見えた。快晴で快適なトレッキング日和だが、逆に雪が解け足跡がくっきりしない。それでも奥からキツネの足跡が、また右からはカモシカの足跡が崖に沿って合流し手前に続いていた。キツネは身体が細く、左右の足はほぼ一直線。カモシカは後ろ足と前足の間隔が約40㌢でヒヅメの形が特徴的だ。
一方、植物は冬芽の観察に最適。トチノキは冬芽にネバネバした樹脂をつけ寒さや乾燥を防ぐ。正月飾りに用いられるユズリハの葉はまだ青かった。雪が消え始める頃からフキノトウや福寿草、ミズバショウ、カタクリが咲き、樹木ではマルバマンサク、モクレンが咲く。もうすぐ、春がやってくる。
(文・伊藤志郎)