トップ文化「藤田志朗の世界」展/茨城県天心記念五浦美術館

「藤田志朗の世界」展/茨城県天心記念五浦美術館

海の風景や月花テーマに約30点

「月になる花」(画面左)と「月の涙」(画面右)

荒涼とした海の風景や月と花をテーマにした作風が印象的な企画展「幻視する風景―藤田志朗の世界」が茨城県天心記念五浦美術館で開かれている。

茨城県つくば市在住の藤田志朗氏は、30年以上にわたり筑波大学での教育や県内の美術振興に携わってきた日本画家。本展では大作を中心に40年を超える同氏の代表作約30点を紹介している。

初期の作品は、打ち捨てられた機械などの人工物や荒涼とした海の風景を中心とする心象風景が特徴。重厚で精緻な描写は見る者を独自の幻想的な世界へと引き込む。

同氏の画風は次第に背景に月を配した「月夜の海景シリーズ」とも呼ばれる、より洗練されたものへと展開。2011年3月の東日本大震災を契機に、画面には大きく描かれた月と大地を埋め尽くすほどの花が配される作風に変化した。代表作「月の涙」や「月になる花」は大地から月へ数多くの花が浮かび上がる幻想的な作品で、鮮やかな色彩と蓮(ハス)の花のようにも見える大小無数の花々は仏教の極楽浄土をも思わせる。会期は2月11日(火・祝)まで。入場料は一般360円、高校生240円、小中学生170円、満70歳以上は180円。1月19日(日)には藤田氏と担当学芸員のトークイベントが行われる。

(長野康彦)

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