トップ文化鵜の動きで翌年の吉凶占う 気多大社の鵜祭/石川県羽咋市

鵜の動きで翌年の吉凶占う 気多大社の鵜祭/石川県羽咋市

神前に1羽の野生の鵜(う)を放ち、翌年の吉凶を占う神事が、12月16日未明、石川県羽咋(はくい)市寺家町に鎮座する能登國一ノ宮の気多大社で営まれる。国重要無形民俗文化財「気多の鵜祭」で、“奇祭の宝庫”と言われる能登の祭礼の中でも、「奇祭中の奇祭」とされる神事の一つだ。

奉納される鵜の捕獲は1週間ほど前に取りかかる。同神社から東に40㌔余り離れた七尾市鵜浦町に住む小西寛之(62)さん、達矢さん(37)父子が一子相伝の技で捕まえる。捕獲方法は公表されていない。

捕らえた鵜は円筒形の鵜カゴに入れ、同地の3人の鵜捕部が背負って2泊3日かけて、徒歩で気多大社まで運ぶ。

神事は午前3時、底冷えのする本殿で始まる。本殿の明かりはすべて消され、神前の一対のロウソクだけが揺らめいている。

“鵜様”が神前に放たれる。いきなりカゴから出され、しかも辺りは真っ暗闇。最初はキョロキョロ見渡しているが、しばらくすると、ロウソクの灯(とも)る案上(あんしょう)と呼ばれる木の台に飛び乗る。神事はここまでで、地元の古老がこの動きから来年の吉凶を占うわけだ。

一説では奈良時代から続くと言われ、民俗学者の柳田国男をして「夜中に行われている祭りは、極めて古い時代の祭りの姿を伝えている。日本の祭りの原型ではないか」とまで言わしめた。

(日下一彦)

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