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テレビで女性アナウンサーが「××に目が…


 テレビで女性アナウンサーが「××に目が離せません」と発言したことがある。普通「目が離せない」は、赤ちゃんや幼児などについて言われる。「常に注意していないといけない」という文脈で使われることが多い。頼りないもの、弱い者に関して用いられるのが普通だ。国語辞典にもそう書かれている。が、その時のテーマはれっきとした企業だったから、子供であるはずもない。

 「目を離したスキに……」という言い方もある。その場合「よくないことが起こった」と続くことが多い。「だから目を離してはいけない」という流れだ。

 が、その時の女性アナウンサーは、その種の危険について言ったのではなく、「注目すべきことなので、われわれも大いに注目している」という意味で使っていたことは文脈上よく分かる。

 となると、「目が離せない」は旧来とは違った意味で使われるようになったと言える。期待感を「目が離せない」と表現することが、国語辞典の用法を超えて現れてきたのだろう。

 無論、言葉は変化するのだから、それは当然のことだ。言葉が変化するからこそ、『源氏物語』の原文はそこそこ難解で、大学の入試問題にも出るのだろう。

 新しい用法を一方的に非難しても仕方がない。「目を離せない」にしても、いずれ消えていくかもしれないし、定着するかもしれない。言葉も生き物だから、栄枯盛衰は当然だ。要は、言葉を使うわれわれの「民意」にかかっている。