世界日報 Web版

京都アニメーションの第1スタジオ(京都市)…


 京都アニメーションの第1スタジオ(京都市)で起きた放火殺人事件の犠牲者は34人に上った。気化したガソリンに引火し、建物内に煙が充満したため、大半の死因は一酸化炭素中毒とみられる。

 このスタジオは2007年の完成で、らせん階段のため3階まで吹き抜けの構造が煙の拡散を容易にした。非常階段は建築基準法施行令で5階未満の建物に設置の義務はない。

 しかし3階程度の建造物であれば、逆にちょっとした非常階段や非常はしごを設けるのは決して難しいことではないはずで、後知恵だが、これが欲しかった。焼け跡の建物全体の映像を見るたびにそう思う。

 日本で今年9月に公開予定の映画「ホテル・ムンバイ」は08年、インドの商都ムンバイで起きた同時多発テロが題材。当時、テロ集団の標的となった、歴史ある五つ星ホテルが燃え盛る様子は、世界中を震撼(しんかん)させた。

 映画は、内部の人間しか知らない避難部屋や通路へ100人の客を避難させ、客の命を守るため戦う従業員の姿を追い掛ける。業態いかんにかかわらず、避難経路や救助の仕掛けの存在など、何十人、何百人が集合する施設、場所には、まさかのときの備えが必須の時代だと教えている。

 京都アニメーションは、すでに「世界の京アニ」として注目されている世界的なアニメ制作会社で、放火された現場はその活動拠点だった。こう考えると、その立場に見合う災害や放火などへの備えが必要だった。