世界日報 Web版

今年のNHK大河ドラマ「いだてん」が不振だ…


 今年のNHK大河ドラマ「いだてん」が不振だ。要は視聴率の話だから、作品の質や出来とは関係がない。受けない理由の一つは「歴史」が感じられないからだろう。

 作中人物であるマラソン選手の金栗四三が活躍したのは大正時代。それから100年がたつが、歴史の一部という感じはあまりしない。戦国時代であれ幕末維新であれ、歴史が感じられるものだが、それが今作にはない。

 大河ドラマの第1作「花の生涯」は1963年に放送され、扱ったのは幕末の大老である井伊直弼。彼が暗殺されたのは1860年だから、1963年のほぼ100年前のことだ。当時の100年前は既に歴史の一部だった。

 金栗も時間の長さでいえば直弼と十分対抗できるはずなのだが、実際はそう感じない。100年前の大正時代と令和(21世紀)の今は、間に先の大戦が挟まるにしても、近代という大きなくくりでいえば地続きのものに感じられる。

 ところが、63年(戦後18年)から大老暗殺を振り返ってみると、100年よりももっと長い時間が流れたような感じがする。暗殺の8年後(明治元年)から近代が始まるとすれば、あとほんの少しのところまで来ていたのだが、それでも江戸時代には違いなかった。

 「現在との間に大きな変化がなくては歴史的出来事だと感じられない」半面、「何であれ時間がたてば歴史」だとも言える。その意味で「いだてん」は、立派な歴史ドラマだとも思えるのだが。