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昨年は音楽家ロッシーニの没後150年で、日本…


 昨年は音楽家ロッシーニの没後150年で、日本でもこれを記念してオペラ公演など40件以上の演奏会が行われた。11月には、東京文化会館小ホールで記念展示も開催。

 それらの記録が、先月末刊行された日本ロッシーニ協会紀要『ロッシニアーナ』(第39号)に掲載されている。これにはロッシーニ研究の最新成果が盛られていて、興味を引いたのは同協会運営委員の井内美香さんの「ゼッダ先生の語るロッシーニとその作品」。

 イタリア生まれの指揮者アルベルト・ゼッダさんは2年前亡くなったが、1960年代に始まるロッシーニ・ルネサンスの火付け役となった人物だ。彼なくしてロッシーニ全集の出版はなかった。

 59年、オペラ「セビーリャの理髪師」を米国で指揮した時、オーボエ奏者から抗議された。そのテンポでは速くて正確には弾けない、作曲者はこの楽器の限界を知らなかったのかと。

 ロッシーニの自筆譜を調べると、それはピッコロのパートだった。そこでテキストの間違いをすべてメモし、次のイタリア放送協会での演奏は、レンタルした楽譜に書き込んで臨んだが、放送は中止。

 貼り付け、書き込み、削除、訂正の入った楽譜について、出版社のリコルディ社は使用不能になったと保障費用を要求した。逆にゼッダさんは、過ちを訂正した労力についてその2倍の金額を要求。後にリコルディ社は過ちを認め、彼に校訂者になってもらい、改訂版で高い評価を受ける。