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日本映画の名匠、小津安二郎監督は「東京物語」…


 日本映画の名匠、小津安二郎監督は「東京物語」「晩春」など家族をテーマにした数々の名作を残した。それらは笠智衆や原節子らが演じる大人が主役ではあるが、子供たちも実に生き生きと印象的に描かれている。

 父親と息子の姿を描いた「父ありき」など小津監督の戦前のモノクロ作品では、子役が多く登場する。戦後の作品では、数は少なくなるが、家族のリアリティーを出すためにも欠かせない存在となっている。

 昭和34年に公開された「お早よう」は、子供たちが主役と言ってもいい作品。東京の新興住宅地に住む一家の小学生の兄と弟が、うちにもテレビを買ってほしいと父親にねだる。しかしダメと言われたため、口を利かないというストライキを敢行。最後に買ってもらうという他愛(たわい)ない話だが、子供の心や世界がユーモラスに描かれている。

 愛情深い眼差(まなざ)しで子供を見つめる小津監督だが、作品に登場する子供は、ほとんどが男の子で、皆やんちゃ坊主。なぜかと小津監督に聞いたら「男の子の方が面白いから」といったシンプルな答えが返ってきそうな気がする。

 小津映画に出てくるような腕白(わんぱく)坊主やガキ大将を最近はあまり見なくなった。ちょっと寂しい。子供には子供の社会があって、そういうところで人間関係や社会性などを学んだりもする。

 子供たちのインターネット利用が進む中で、こうした部分がどのようになっているのか、気になるところだ。