世界日報 Web版

「一を知って二を知らぬなり卒業す」(高浜…


 「一を知って二を知らぬなり卒業す」(高浜虚子)。ちょうど桜の開花と卒業が重なるシーズンとなった。この季節は、卒業式と入学式という別れと出会いの行事があり、胸を弾ませたり、感傷的になったりと情感に満ちた思い出を生み出すものとなっている。

 東京地方では春の雪で少し遅くなったが、それでも桜の盛りがやって来るのは間近。特に、それぞれの道を歩むターニングポイントとなる高校の卒業式は誰でも感慨深いものがあるに違いない。

 気流子も、もう何十年も前になる式を時折思い出し、同級生たちがどこへ行ったのか、果たして元気でやっているのか、懐かしく思ったりする。時々故郷に帰っても、当時の友人たちの消息は一部を除いてほとんど分からない。

 卒業とともに上京し、大学生活を過ごした日々も、あっという間だったにもかかわらず、生き生きとよみがえる。

 先日、数十年ぶりに当時の友人たちと再会したが、近況よりも高校・大学時代のあれこれを語り合う時間が多かった。帰らない時間を取り戻すように、若返った気持ちになって話すことが生きる実感に結び付いているのかも。

 「一期一会」という言葉があるが、まさに青春時代も一回きりのものであり、その時の出会いも別れも一回きりのものである。そのような経験の積み重ねの果てに今の自分がある。そう考えると、毎年繰り返される桜の花見も、特別なものとして考えなければならない。