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故渡部昇一氏のベストセラー『知的生活の方法』…


 故渡部昇一氏のベストセラー『知的生活の方法』が出版されたのは昭和51年。そこに書かれた方法に、半端で余分な時間ができたら、喫茶店に入って本を読むというのがある。実践してみて、悪くないと思った。コーヒー1杯で誰にも煩わされず読書に集中できる。

 ただ困るのは長居をすると、服に周りの客が吸う煙草(たばこ)の匂いが染み付いてしまうことだ。当時は、今のように禁煙・分煙などされていなかった。店を出る頃に気分が悪くなっていたこともあった。

 厚生労働省が受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案の骨格を公表した。飲食店内の喫煙については、バーやスナックに限って認めた原案に比べ、小規模な店など条件付きで認める範囲を拡大した。

 「飲食店の客離れにつながりかねない」という自民党議員らの懸念を受けてとみられる。しかし、これは逆ではないか。

 ラーメン店に入ってこれから食べようとする時、食べ終わった隣の客が一服やりだすと、ラーメンを味わうどころではなくなる。外で吸ってくださいとも言えない。グルメの国を自認する日本だが、果たしてそうか、と疑問を抱くのはそんな時である。

 気流子が時々足を運ぶ東京・JR新宿駅近くの喫茶店は、昨年喫煙コーナーを小さくし完全分煙にした。その分禁煙席が増えたのだが、明らかに客の入りは多くなった。愛煙家はますます肩身が狭くなるかもしれないが、受動喫煙防止は文化レベルの尺度と考えるべきだろう。