世界日報 Web版

「かなしみのあとの寒さに耐へにけり」(濱井…


 「かなしみのあとの寒さに耐へにけり」(濱井武之助)。今年も残り少なくなってきた。日々、冬の寒さが増してくるのを実感する。日中は暖かいこともあるが、朝は冷えた空気が床や布団から伝わり、心地よい眠りから急に目覚めさせられることもしばしば。

 年末は「師走」という漢字に表されているように、どこか慌ただしい感じがする。「年の終わり」ということを実感するのは、仕事納めや御用納め、そして大掃除の後、何もしないでぼんやりと過ごしている時かもしれない。

 年の終わりと言っても、次には年明けの正月を迎える。終わりと始まりがどこかつながっている感もある。そのあたりは、高浜虚子の名句「去年今年(こぞことし)貫く棒の如きもの」がよく表現している。始まりの「生」と終わりの「死」が連続しているということでもあろう。

 この時期、終わりというと、気流子が思い出すのは、学校の教科書に掲載されていた「最後の授業」という、フランスの作家、アルフォンス・ドーデの短編である。フランス領アルザス地方に住む学校嫌いのフランツ少年が、村の小さな学校に遅刻して授業に臨むと、それがフランス語での最後の授業で、明日からはドイツ語になるという日だった。普仏戦争でフランスが敗れ、アルザスがプロイセン領となったためだ。

 国を失うことの悲しさと寂しさが伝わってきて切なく感じたことを覚えている。ドーデは1897年のきょう亡くなっている。