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第33回京都賞受賞者の一人で、植物生理学者…


 第33回京都賞受賞者の一人で、植物生理学者のグレアム・ファーカー・オーストラリア国立大特別教授(69)が、授賞式の記者会見で地球温暖化対策について「経済と環境、社会が収斂(しゅうれん)して同じ方向に向かわないと良くならない」とその困難さを指摘した。

 自然現象を扱う学者が、このような大舞台で「価値」の問題に言及するのは、なかなか勇気の要ることで、ファーカー氏の言葉を重く見たい。科学的研究と社会的価値実現を結び付けるために科学者が果たすべき役割は小さくない。

 温暖化をめぐっては、北極の海氷が減り続けている問題も深刻だ。この30年間で約40%も減少しているのに、大国の指導者たちの対策への動きが鈍過ぎる。

 北極には原油や天然ガスなど膨大なエネルギー資源が手付かずのまま地下に眠っているとみられる。ロシアなどは、環境の悪化をよそに、重要資源を獲得しようと探索を強化しているのが実情だ。

 それに対し、世界の科学者たちは信念を持って警告すべきだが、北極圏の実地探査は思うに任せない。砕氷船の利用一つを取っても、各国の運用規程に左右され共同で使えず、データ取得とその分析が十分にできないため、思い切ったことが言えないでいる。

 こうした中、わが国は2015年に「我が国の北極政策」を策定し、研究推進のほか、国際的なルール作りへの積極的な参加を表明している。産官学が一致して力を発揮できる分野だ。