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「盛り塩の冬めく三和土濡れてをり」(下田実花…


 「盛り塩の冬めく三和土濡れてをり」(下田実花)。「盛り塩」は、玄関先などで両側に三角錐(すい)や円錐形に盛った塩のことを言う。縁起担ぎや厄除(よ)けなどの風習からきている。時々、商店の入り口でも見掛けることがある。

 「三和土」の方は、ちょっと今の若い人は読めないかもしれないが、「たたき」と読み、土またはコンクリートでできた土間の床を指す。土間自体、都会ではあまり見掛けなくなった。盛り塩をして冬を迎える日本人の伝統文化には、それなりの由来と意味を持っていたが、今では忘れられつつある一つと言っていい。

 そろそろ染みるような寒さが身にこたえるようになったが、木々が紅葉すると同じぐらいに、生き物たちも「冬眠」の季節を迎える。冬眠はクマがよく知られているが、爬虫(はちゅう)類のヘビや両生類のカエルも土の中に潜って眠りに入る。

 カエルは気温が10度以下になると、冬眠に入るという話があるが、まだ東京などでは朝夕ならいざ知らず、そこまで寒い日はまれだ。

 その意味では、カエルたちはまだ起きているのかもしれない。だが、春が来るまでじっと大地の下で冬眠する日は、そう遠くないだろう。

 カエルというと、思い出すのは、カエルの詩人と言われた草野心平のこと。教科書か何かで、その詩「冬眠」を読んだ時の衝撃は忘れられない。タイトルの下に「●」があるだけというもの。その草野心平は、昭和63(1988)年のきょう、亡くなっている。