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別名神無月の10月がきょうで終わると、あすは…


 別名神無月の10月がきょうで終わると、あすは霜月11月到来。二十四節気の立冬が7日、<木々の葉は落ち、平地にも初雪が舞い始めるころ>という小雪が22日と、暦の上では冬が近い。きのうは冬の訪れを告げる「木枯らし1号」も昨年より10日早く、都心や近畿地方で吹いた。

 台風や不順な天候で日中も寒い日が続き、このまま秋抜きで冬がやって来そうである。だが、11月は下旬でも「一葉忌とはこんなにも暖かな」(川崎展宏)とあるように例年、秋晴れ小春日和の日が続くことが少なくない。

 朝晩の冷え込みに身を縮めても、山や森や林が華やかな彩りを濃くするのを楽しむ季節はこれからだ。山容を表す季語は春の「山笑う」、夏の「山滴る」、冬の「山眠る」に対し、紅葉に彩られる秋は「山装う」。

 日本の自然美の中でも、北から南下し山から麓にだんだんと下りてくる紅葉は、今も昔も日本人の心を豊かにしてきた代表的風景である。

 深まる秋の色を堪能するもう一つの楽しみは熟する味覚の数々。スーパーにはブドウにイチジク、リンゴにミカン、梨に柿、栗が所狭しと並び、ラ・フランスなども控える。誠に楽しみな日本の秋の彩りは尽きない。

 果実だけではない。獅子文六は<大根が太くなって晩秋>と書いているし、芥川龍之介には<木がらしや目刺にのこる海のいろ>の代表句がある。しばらくは山のもの、海のものが食卓を賑(にぎ)やかにする季節を存分に楽しみたい。