世界日報 Web版

「目にて書く大いなる文字秋の空」(高浜虚子)…


 「目にて書く大いなる文字秋の空」(高浜虚子)。27日から11月9日まで読書週間になっている。今年の標語は「本に恋する季節です!」。普段は読書をしなくても、この機会に本を手に取ってみたいものだ。少し長いものにチャレンジするのもいい。

 読書週間になると、若者の活字離れや電子書籍によって紙の本が無くなっていくことについていろいろ議論される。もちろん、基本的にその趨勢(すうせい)は変わらないだろう。

 だが、電子書籍が席巻して紙が絶滅していくというのは、やはり早計で、それぞれの特徴を生かしたところで、すみ分けが行われていくというのが妥当ではないか。

 紙の書籍には、質感や手触り、ページをめくる感覚、その他ビジュアルな面でも長所がある。最近、見直されている職人の手作りの生活用具などもそうだが、人間には文明の利器による便利さだけでは満足できない面がある。

 若者の活字離れも、いささか聞き飽きた感じの話題だが、まったく活字を読まないという指摘も再考の余地がある。確かに、昔の人のように書籍の活字をむさぼるように読む風景はなくなったが、その代わりにスマートフォンの登場によって読書の形態も変化していると言っていい。

 本をめぐる討論、ビブリオバトルと呼ばれるものだが、自分のお薦めの一冊を述べ合い、投票によって優勝を決めるというのも、活字離れとは違った若者の動向を伝えてくれる。活字はまだまだ健在なのである。