世界日報 Web版

正岡子規の夏を詠む句に<炎天の色やあく迄…


 正岡子規の夏を詠む句に<炎天の色やあく迄深緑>がある。8月の別名の葉月は、木々や植物が満ち育ち、葉を落とす月、葉落ち月が略されたのが謂(い)われともいう。木々に茂る葉の深緑が美しく、猛暑の夏も木陰だけはしのげる空間をつくってくれてホッとする。

 今夏で8年連続となる猛暑は直近の猛暑元年となる平成22(2010)年からだが、記録的猛暑で思い出すのは平成16年。あの年は夜の最低気温が30度以下にならない「超熱帯夜」なる新語まで登場した。

 昼は昼で「猛暑日」(最高気温35度以上)が東京では6日もあり、老骨の身にかなり堪えたことを忘れない。平成25年8月には高知県四万十市で41度を記録し、国内最高気温を更新。昨年8月は大阪で猛暑日を過去最多23日も記録するなど猛暑の夏はいろいろ。

 気を付けたいのは、このところ盛んに自衛が言われる熱中症である。年平均で死者500人ほどだが、前述の22年には1700人余もの人が命を落とした。今年も要注意だ。

 熱中症の防止は一にも二にも水分補給と適度な塩分摂取。とりわけ65歳以上の高齢者は油断禁物である。体内の水分が不足しがちの上に、自らの暑さに気付く感覚が鈍っていることの自覚をしっかり持った生活を心掛けてもらいたい。

 この季節、濃い緑の中で紅一点、真夏にへこたれず紅い花を咲かせ続ける百日紅(さるすべり)は元気印のオーラで人を励ましてくれる。<炎天の地上花あり百日紅>高浜虚子