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カンボジアのアンコール遺跡は、独自の…


 カンボジアのアンコール遺跡は、独自のヒンズー教・仏教文化を築いたクメール王朝の遺跡群である。2004年に世界文化遺産に登録され、世界から多くの人が訪れるが、その前史として1992年に「世界危機遺産」に登録されていた。

 カンボジア内戦時、遺跡は共産主義勢力クメール・ルージュ(ポル・ポト派)によって激しく破壊された。多くの奉納仏の首がはねられ、砕かれ、敷石にされた。宗教を阿片と見なす彼らは、その文化的価値を認めなかった。

 アンコールワットはヒンズー教の寺院だが、その建物は堅固な石造りの城塞と異ならない。79年、政権を追われたポル・ポト派が立てこもり、遺跡はさらなる破壊を被った。

 このアンコール遺跡群の保存修復に尽力した石沢良昭上智大学教授に、「アジアのノーベル賞」と言われるマグサイサイ賞が授与されることになった。清廉さで知られたフィリピンのラモン・マグサイサイ大統領にちなんで創設された賞で、ダライ・ラマやマザー・テレサも受賞している。

 石沢教授は、内戦中のカンボジアに乗り込み、荒廃する遺跡の現状を世界に訴えた。それが危機遺産としての認識を世界に広めた。

 それだけでなく、将来にわたって遺跡を保存するには、カンボジアの人が自分たちの手によって遺跡を保存・修復そして管理するようにならなければならないと考え、専門家の育成に力を注いだ。図らずも途上国への支援の手本を示したと言える。