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銭湯の壁面に描かれた富士山や海辺の松原…


 銭湯の壁面に描かれた富士山や海辺の松原などは、ペンキ絵と呼ばれ、芸術性の低い絵の代名詞のように言われてきた。しかし外国人などには、魅力的に映るようだ。

 日本銭湯文化協会公認の「銭湯大使」ステファニー・コロインさんが小紙の持論時論(5日付)で、銭湯の魅力の一つとして、宮造りで建てられた建物やペンキ絵などの「アート」を挙げている。コロインさんによると、ペンキ絵師は今では3人しかいない。

 考えてみれば、ペンキ絵はその通俗性が銭湯という庶民の空間にマッチしている。ラファエロやコロー風の本格的な絵だったら、かえってリラックスできないだろう。芸術の本場フランス生まれのコロインさんが言うのだから、銭湯に相応(ふさわ)しい絵であることは確かだろう。

 銭湯のもう一つの魅力としてコロインさんが挙げるのが、コミュニティーの側面。「銭湯では譲り合いや気遣いなど、隣の人に気を付けてみんながきれいに使えるようにしなくてはならないマナーがある。これは子供の教育にも良い」という。

 昔、子供たちは銭湯で公衆マナーを学んだ。電車の中で騒いでいる小さな子供を見て、親はどんなしつけをしているのかと思うことが少なくない。ほとんどが内風呂になって、子供にマナーを教える機会が無くなったことも影響しているのだろう。

 外国人に指摘されて、日本の良さを再発見することは多い。多面的な機能を持つ銭湯文化を何とか残したいものだ。