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古代ギリシャの歴史家ヘロドトスは『歴史』を…


 古代ギリシャの歴史家ヘロドトスは『歴史』を著して「歴史の父」と呼ばれた人物。諸国を遍歴し、東はバビロニア、西はリビアのキュレネ、北は黒海の北岸、南はエジプトのナイル川上流まで足跡を残した。

 『歴史』は文字通り世界史を描いた記録で、クライマックスはペルシャ戦争。西洋では古代から読み継がれてきたが、19世紀に再び脚光を浴びるようになった。西アジアの発掘調査が始まったからだ。

 多くの人々が興味を抱いたのは聖書考古学で、古代イスラエルと周辺の大国をめぐる国際情勢。ヘロドトスは旧約聖書を理解する上でたくさんの情報を提供しているが、ユダヤ人についての記述は皆無。

 国を失い、ペルシャ帝国の中で目立たない存在だったからだ。だがそのユダヤ人の歴史を記した旧約聖書と、後に編纂(へんさん)された新約聖書は、新たな文明を形成する原動力となっていった。

 その結実が現代の米国だ。首都ワシントンに今年11月、世界最大の「聖書博物館」が誕生するという(小紙2月21日付)。設立発案者は手工芸用品チェーン「ホビー・ロビー」の社長スティーブ・グリーン氏。

 同氏は「聖書が科学、教育、民主主義、芸術、社会に影響を与えてきたことは疑いの余地がない」と強調している。今も大統領は聖書に手を置いて就任宣誓をする。米国は聖書の歴史を背負っているとも言える。その伝統を再認識することは、建国の理念を再考するよい機会となるだろう。