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文化審議会は、手書き漢字で「とめ」「はね」…


 文化審議会は、手書き漢字で「とめ」「はね」「はらい」などの書き方は、細部にこだわる必要はなし、との指針をまとめた。学校教育、役所、金融機関などで面倒なルールに縛られる機会は、今後減りそうだ。

 とめたり、はねたりする場合に「どっちでもいいじゃないか」と思いながら学んだ数十年前を思い出す。パソコンの登場なぞ、想像もしていなかった。ここまでくるのに時間がかかったものだ、との感慨が深い。

 ただ今回の指針とは別に、人名の漢字に関しては細かい配慮が求められる面もあろう。斎藤の「斎」にはいろいろのタイプがあるし、渡辺の「辺」も、区別の付きにくい複雑なバリエーションがいくつもある。

 柿本人麻呂は「麻呂」を1字で「麿」とする場合がある。奈良時代の役人が、縦書きで書かれた2字の「麻呂」を、知ってか知らずか「麿」にまとめてしまったのだろう。

 「吉田」の「吉」の例では、上が武士の「士」であることが多いが、中には「土」のケースもある。もともとどちらが正しかったのかは、今となっては分からない。字体にむやみにこだわらずに、多数派の「吉田」にまとめてしまえばとも思うが、「土」に強い愛着を示す人も中にはいるかもしれない。

 名前は人格と関わる面がある以上、吉田であれ渡辺であれ、一本にまとめるのは簡単ではなさそうだ。それにしても今回の基本方針が、時代の流れを踏まえたものであることはよく分かる。