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亡命先のロンドンで2006年、元ロシア情報機関員…


 亡命先のロンドンで2006年、元ロシア情報機関員アレクサンドル・リトビネンコ氏(当時43)が毒殺された事件は大きな衝撃を与えた。

 事件を調査していた英公聴会の報告書が公表された。「入手可能なあらゆる証拠や分析を総合すると、ロシア連邦保安局(FSB)のリトビネンコ氏殺害作戦が恐らくプーチン大統領により承認された」と結論付けている。

 これに対しロシア側は「英国が政治問題化している」(同外務省のザハロワ情報局長)と反論。しかし、メイ英内相は「露骨で受け入れることのできない国際法と文明に対する侵害行為だ」などと一歩も引かない構えだ。

 この事件、当初からロシア政府は英当局の捜査への協力を拒み、容疑者2人の英国への身柄引き渡しも拒否している。容疑者の1人で、元ロシア情報機関員ルゴボイ氏は事件後、下院議員に選出され、不逮捕特権を得ている。

 歴史的に英国は、亡命規約などを含め、さまざまな国際システムを維持し、その運転役を任じてきた。それをもって情報網を張り巡らせ、国益に関わる情報をいち早く掴むと、外交力・諜報能力を駆使し“火を消し止める”という行動を繰り返してきた。

 その種の外交戦略が可能なのは、他国の追随を許さない諜報能力があるためだ。リトビネンコ氏毒殺事件の10年越しの追及、今回の報告書の厳しい内容には、情報大国のメンツをつぶされた英国の無念が滲んでいる。