世界日報 Web版

子供たちは終業式を終えると浮き浮きとして…


 子供たちは終業式を終えると浮き浮きとして帰宅し、学校は夏休みに入って森閑とする。その過ごし方はさまざまだが、甲府市にある山梨県立文学館では「芥川龍之介の夏休み」を紹介している。

 展示資料は12歳から31歳までの夏休みに関するもの。最初に登場するのは「暑中休暇中の日記」だ。1904年7月21日から8月31日までの記録。読書もしているが、ほとんど毎日のように泳ぎに出掛けている。

 大川(隅田川)は当時、水がきれいだったらしく、水練場があって、水泳は日課。この期間に4級と3級に合格した。使われた水泳帽子も展示されている。7月30日の夕方、柳橋で買ったというもの。

 06年8月16日、流星社から出された回覧雑誌「木兎」第2号には、「勝浦雑筆」という作品を載せた。8月7日から11日にかけて、勝浦や小湊を訪れた小旅行の記録だ。少年期の芥川は夏休みには毎年旅をしていたようだ。

 08年には、東京から氷川、塩山、甲府を経て上諏訪、小諸、浅間山、軽井沢とたどって帰京。09年には槍ヶ岳に登って「槍ヶ岳紀行」を記した。心身ともに健康で快活な様子が文章に感じられる。

 夏の起床はたいてい5時半で、早起きだ。日々の出来事をしっかりした正確な文字で記述している。晩年の「或阿呆の一生」の原稿も展示されていたが、小さく繊細な文字で、筆跡に少年の日の快活さは消えていた。8月23日まで。