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米国で「原生自然保全制度法」ができたのは…


 米国で「原生自然保全制度法」ができたのは1964年。文字通り、手つかずの原生林や湖沼一帯、地域を保護する法律だ。

 同法成立50年を記念して、米国営放送VOAでは記者がその対象の多くを占めるワイオミング州を訪れリポートしている。映像を見て驚かされるのは、米国の自然の規模の大きさで、圧倒される。

 一般人の観光や踏査なども制限され、架橋敷設なども基本的に禁じられている。リポーターは「自然保護法の先駆けで、各国のモデルになる制度だ」と胸を張る。確かに、形式的にはそういう面がある。

 一方、環境庁編「生物多様性国家戦略」(96年)には、優れた状態を維持している森林、海岸、湖沼、湿原などで一定のまとまりを有する10地域について記されている。ただ、米国の法律と日本の生物多様性基本法の狙い、背景には微妙な違いがある。

 かの地では、その法律によって囲われ保護された地域=自然と規定され、自然の概念は人間によって生み出される結果となっている。あくまで「人間主体の世界」という考え方のように思える。

 日本の場合は、まず「自然ありき」。大宝律令(701年)雑令中にも「山川藪沢の利は公私之を共にす」とあり、自然利用の自由を原則とするのが伝統的で、人間と自然との関係の在り方も示している。法律による保護は人間と自然の一体化を図るためという考え方だ。かの国との自然観の違いと言うべきか。