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中央アジアのウズベキスタンを4月に訪ねた時…


 中央アジアのウズベキスタンを4月に訪ねた時、美しいミニアチュール(細密画)が驚くほど安い値段で売られているので、土産に数枚購入した。飴色がかったつるつるした紙に描かれていたが、後でこれが「サマルカンドペーパー」であることを知った。

 紙は2世紀初頭、中国の蔡倫が紙すきによる製法を開発し、610年には韓半島を通じて日本にもたらされた。一方、西方に紙の製法が伝わるのは、751年に中央アジアのタレス河畔でのイスラム軍との戦いで捕虜となった唐人を通してである。

 そこで生まれたのがサマルカンドペーパー。ムガール帝国の初代皇帝バーブルは「世界で最も美しい紙はサマルカンドで作られている」と言った。

 この紙の特徴は、中国や日本の和紙が筆で書くのに適しているのに対し、表面がつるつるしペン書きに適していることだ。これが中東や欧州に伝わり、西洋紙のルーツになった。

 サマルカンド紙はしかし、200年ほど前に生産が途絶えてしまった。2008年から国際協力機構(JICA)の草の根技術協力事業として、熊本県水俣市の和紙職人金刺潤平さんが、サマルカンド紙の復活とそれによる村おこし計画に携わってきた。

 洋紙のルーツとなるサマルカンド紙だが、紙すきという面では同じ。無形文化遺産に登録された「和紙」のもの作りの心と伝統技術の継承がこの歴史的な遺産の復活を助けたのである。