世界日報 Web版

「私たちが世界を知れば知るほど、未知の…


 「私たちが世界を知れば知るほど、未知の世界へのフロンティアは、むしろ広がるのである」。宇宙は誕生初期に急膨張したとする「インフレーション理論」提唱者で、先日、文化功労者に選ばれた宇宙物理学者、佐藤勝彦さんの言葉だ。

 宇宙の始まりの状態を知るための観測技術開発はここ10年ほどの間に急速に進んでいる。21日には高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)や東京大、米カリフォルニア大などの国際研究チームが、宇宙創成直後の電磁波が地球へ到達する道筋をとらえたと発表した。

 宇宙にはビッグバンの残り火とされる「宇宙マイクロ波背景輻射」という電磁波が満ち満ちているのが分かっている。昨年、この電磁波の観測データから宇宙創成が従来説より1億年前の138億年前であると発表されたばかり。

 それに続いての今回の成果は、宇宙の形などをより正確に知る上で大きな拠り所になると言われる。わが国は素粒子理論や今回ノーベル物理学賞授与対象となった半導体(物性理論)だけでなく、宇宙物理学も世界のトップレベルにある。

 例えばわが国には、宇宙の重力波を直接観測するための施設「KAGRA」があり、将来的には人工衛星を使ってそれを調べる「DECIGO」計画も進んでいる。成功すれば宇宙誕生時の状態が分かると期待される。

 それらの担い手となるべく若者たちの理系離れを食い止めたい。